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時期
1860–1900年
地域
イギリス(ロンドン)、フランス
本DB収録 5 点

唯美主義

Aestheticism

19世紀後半のイギリスを中心に広がった芸術運動。絵画は道徳や物語を語る手段ではなく、色と形の調和そのものに価値があるとする「芸術のための芸術」を掲げ、室内装飾や工芸にも及んだ。

解説OVERVIEW

定義と時代背景

19世紀半ばのイギリスでは、絵画に教訓や物語を求めるヴィクトリア朝の価値観が強かった。これに対し、フランスのテオフィル・ゴーティエらが唱えた「芸術のための芸術」の考えが海を渡り、1860年代のロンドンで新しい動きとなる。ラファエル前派の第二世代、とりわけダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの周辺から、美そのものを目的とする作品が生まれた。開国後の日本から入ってきた浮世絵や工芸品への関心も、平面的な構図と装飾性への志向を後押しした。

造形上の特徴

物語や人物の特定よりも、色の調子、形の配置、画面全体の調和が優先される。ジェームズ・マクニール・ホイッスラーが用いた「アレンジメント」「ノクターン」「シンフォニー」という音楽になぞらえた題は、その姿勢を端的に示す。色数を抑えた灰色や白の階調、浅い奥行き、平面的な画面構成が好まれ、絵画だけでなく室内装飾、家具、書物の装丁まで一続きのものとして扱われた。

代表画家と代表作

ホイッスラーは《灰色と黒のアレンジメント No.1》(1871年)や《ノクターン:黒と金色—落下する花火》(1875年)で運動の中心となった。ロセッティは《ベアタ・ベアトリクス》(1864年頃〜1870年)のような夢見る女性の半身像を、エドワード・バーン=ジョーンズは《欺かれるマーリン》(1872〜1877年)のように神話や伝説に取材した幻想的な画面を描き、アルバート・ムーアは古代風の衣をまとう女性像を連作した。ロイヤル・アカデミー会長を長く務めたフレデリック・レイトンも、《フレイミング・ジューン》(1895年)のように、物語を語らず色と形の釣り合いに的を絞った画面を残した。文学では詩人のアルジャーノン・スウィンバーン、のちにオスカー・ワイルドが同じ立場を代表する。

前後の流派との関係

ラファエル前派の装飾的な第二世代から分かれ、ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動と並行して育った。ヨーロッパ大陸では象徴主義と響き合い、世紀末のアール・ヌーヴォーへ流れ込む。アメリカでは、ホイッスラーの抑えた色調に学んだ画家たちがトーナリズムと呼ばれる風景画を展開した。主題より画面そのものを見るという立場は、20世紀の抽象絵画へ向かう一歩としても評価される。

代表画家ARTISTS

代表作MAJOR WORKS

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