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《サイモンとイフィゲニア》

Cymon and Iphigenia
《サイモンとイフィゲニア》フレデリック・レイトン
Wikimedia Commons / ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フレデリック・レイトン
制作年
1884年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
163 × 328 cm
流派
唯美主義
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大きな木の下で、白い衣の女性が両腕を頭の上に上げて眠っている。足もとには侍女たちも眠り込み、右に立つ赤い衣の若者がじっと彼女を見下ろす。背後には暮れかかる海が広がり、水平線に低い光が沈んでいく。

概要

《サイモンとイフィゲニア》は、イギリスの画家フレデリック・レイトンが描き、1884年のロイヤル・アカデミー展に出品した油彩の物語画である。縦163センチ、横328センチの横長の大作で、シドニーのニュー・サウス・ウェールズ州立美術館が所蔵する。作品に署名と年記はない。

画面の読み解き

所蔵館によれば、主題はボッカッチョの『デカメロン』に由来する。ガレソという若者は、その粗野さから「獣」を意味するサイモン(キモーネ)と呼ばれていた。5月のある午後、彼は眠っているイフィゲニアを見つけ、「人間がかつて見たなかで最も美しいもの」と思って恋に落ち、生涯にわたって美と哲学に身をささげる者となる。画面では、大樹の下に白い衣のイフィゲニアが横たわり、まわりで侍女や従者が眠り込む。右端に立つ赤い衣のサイモンが、立ち止まって彼女を見つめている。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館は、けだるく官能的な画風と、イフィゲニアの体と衣がつくる「並外れたうねり」に注目する。白い衣の明るい色が、赤や暗い紫の衣、暮れかかる空と海の暗い色調のなかで際立つ。

来歴

所蔵館によれば、1884年にロンドンのファイン・アート・ソサエティの手にあり、のちサセックスのサー・カスバート・クィルター、1909年の売り立てを経て H. スミス、レオポルド・アルブ、ジョン・エイヴリー、マース・ギャラリー、パメラ・キャヴェンディッシュの手に渡った。1976年2月13日、ロンドンのクリスティーズで同館が購入した。所蔵番号は210.1976。1885年にはベルリン、ドレスデン、ウィーンを巡回し、1897年にはロイヤル・アカデミーの冬季展にも出品された。

意義

所蔵館によれば、ロイヤル・アカデミー会長で、のちに貴族に列せられたレイトンは、同時代の工業化したイングランドに背を向け、理想化された古典の情景を好んだ。館はその作品を「臆面もなく郷愁に満ち、理想化された」ものと評し、本作をその典型とする。本作も、文学に取材した歴史画の伝統に連なる大画面に、古典風の理想化された人物を並べている。