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《干草の収穫》

《干草の収穫》ピーテル・ブリューゲル(父)
Wikimedia Commons / ロプコヴィッツ・コレクション / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ピーテル・ブリューゲル(父)
制作年
1565年
素材
板(オーク材) / 油絵具
寸法
114 × 158 cm
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明るい初夏の日差しの下、熊手を担いだ女たちが村道を急ぎ、その脇を、果物や野菜の籠を頭に載せた農民がすれ違う。左には切り立った岩山、右には川の流れる谷がはるかに広がる。

概要

《干草の収穫》は、フランドルの画家ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に描いた油彩画で、プラハのロプコヴィッツ・コレクションが所蔵し、プラハ城のロプコヴィッツ宮殿で公開されている。2018年にウィーン美術史美術館で開かれた「ブリューゲル」展の記載では、オーク材の板に描かれ、縦114センチ、横158センチ。日本語版ウィキペディアによれば、画家が描いた6点の季節画連作のうちの1点で、そのうち5点が現存する。所蔵者の公式サイトは、本作を宮殿の博物館の見どころの筆頭に挙げている。

画面の読み解き

画面の手前を斜めに横切る村道では、熊手を肩に担いだ3人の女が左から右へ急ぎ足で歩き、その反対側を、頭の上の籠に赤い果物や野菜を載せた人々が列をなしてやってくる。右手前には白い馬に乗った人物がおり、地面には豆や果物を盛った大きな籠が置かれている。左手前では、男が座りこんで大鎌の刃を打っている。中景の牧草地では人々が草を刈ってかき寄せ、刈った草を積み上げた荷車を馬が引く。左奥には切り立った岩山と教会のある村、右奥には川の流れる谷が青くかすむ地平まで続く。日本語版ウィキペディアは、ブリューゲル研究者の森洋子によるとして、母と2人の娘が熊手を手に歩き、反対へ歩む農民がサクランボやイチゴ、インゲン、大豆、キャベツなどを運んでいると読む。同記事によれば、ネーデルラントで干草の収穫は6月から7月にかけて行われ、オランダ語で7月は俗に「干草の月」と呼ばれる。中景の農家の裏では長い竿で井戸の水を汲み、その上方では村人たちが弓の腕を競っている。

技法・様式

日本語版ウィキペディアによれば、前景の村道の褐色、中景の牧草地と丘の黄緑、遠景の青からなる色の組み立ては、基本的にヨアヒム・パティニールの世界風景を受け継ぐ。一方で、自然と一体となって働く農民の生き生きとした姿は、パティニールとはまったく違う世界をつくり出している。同記事は森洋子の説として、時祷書や月暦版画などの伝統的な月暦図が貴族や市民の月々の行事を描いたのに対し、ブリューゲルは農民を主人公に据え、季節感にあふれた自然の中で働く姿をたたえた点が異なるとしている。

来歴

日本語版ウィキペディアによれば、季節画の連作はアントウェルペンの金融業者で収集家のニコラース・ヨンゲリンクが注文し、郊外の別荘の一室に飾られた。連作はのちにアントウェルペン市の所有となり、1594年にネーデルラント総督エルンスト大公に贈られ、その兄の皇帝ルドルフ2世の手に渡った。ゲルマン国立博物館が公開するハンス・ポッセの旅日記の注釈版によれば、ヒトラーの美術館計画の責任者だったポッセは、1941年7月22日にロウドニツェ・ナド・ラベムのマクシミリアン・エルヴィン・フォン・ロプコヴィッツの収集で本作を調べ、本作には「リンツ番号」2124が与えられた。ドイツ歴史博物館の中央集積所データベースでは、本作はロプコヴィッツ侯の収集から1941年に接収され、戦後ミュンヘンの中央集積所を経てチェコスロヴァキアに返還されたと記録されている。ただし同じ記録では、作者は小ブリューゲル、年代は1589年頃とされている。所蔵者の公式サイトによれば、一族の収集は1948年に共産党政権に没収され、1989年のビロード革命ののち一族が返還を受けた。

意義

日本語版ウィキペディアによれば、注文主ヨンゲリンクは《バベルの塔》や《ゴルゴタの丘への行進》を含む16点のブリューゲル作品を持つ重要な後援者だった。連作のうち、《暗い日》、《雪中の狩人》、《牛群の帰り》はウィーン美術史美術館に、《穀物の収穫》はメトロポリタン美術館にある。同記事は、本作が《暗い日》と同じく激しい労働と遊びとしての休息の共存を描いていること、そして17世紀のピーテル・パウル・ルーベンスを魅了し、パラティーナ美術館の《野良仕事からの帰り》などの風景画に影響を与えたらしいことを挙げている。2018年には、ブリューゲルの現存作品のおよそ半数を集めたウィーン美術史美術館の大回顧展に出品された。