《暗い日》
- 作者
- ピーテル・ブリューゲル(父)
- 制作年
- 1565年
- 素材
- 板(オーク材) / 油絵具
- 寸法
- 118 × 163 cm
- 所蔵
- ウィーン美術史美術館
- 時代
- ルネサンス
- 流派
- 北方ルネサンス
黒い雲が垂れこめ、荒れる河口では帆船が波にもまれる。手前の丘では、葉を落とした木々のあいだで男たちが柳の枝を刈って束ね、その右では村人が仮装してワッフルを食べている。
概要
《暗い日》は、ネーデルラントの画家ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に描いた油彩の風景画で、ウィーン美術史美術館が所蔵する。館の題は「暗い日(早春)」。館の記録では、オーク材の板に描かれ、縦118センチ、横163センチ、額を含めると縦136センチ、横180センチ。所蔵番号は絵画館1837で、館の絵画館X室に展示されている。右下に「BRVEGEL M / CCCCC LXV」の銘がある。
画面の読み解き
館の解説によれば、画面は冬の終わり、または早春を、薪集めや柳の細枝の刈り取りといった季節の仕事とともに表している。紙の冠をかぶった子ども、ランタン、ワッフル、頭に鍋をかぶり蝋燭を立てた箒を持つ仮装は、謝肉祭の時期を示し、同じ館にあるブリューゲルの《謝肉祭と四旬節の喧嘩》にも似たものが現れる。日本語版ウィキペディアによれば、中景の河口では春の嵐で帆船が難破しかけており、これは伝統的な2月のモティーフである。丘の下には村の聖堂や居酒屋、わらぶき屋根の農家が並び、農家の中庭では農民の一家が踊っている。
技法・様式
画面では、黒い雲が空を覆い、左奥には雪をかぶった険しい山々と城がそびえる。視点は高く、手前の丘から村、河口、遠くの海までが一望に収められる。手前では、葉を落とした木々のあいだで、青い上着の男が刃物で柳の枝を払い、もう一人が身をかがめて枝を束ねる。木々の幹は画面を縦に区切り、褐色の大地と暗い緑の水、灰色の空が全体の沈んだ色調をつくっている。
来歴
館の記録によれば、本作はアントウェルペンのニコラース・ヨンゲリンクの収集にあり、1594年にアントウェルペン市からネーデルラント総督エルンスト大公に贈られた。1595年の大公の遺産から皇帝ルドルフ2世に渡り、のちにレオポルト・ヴィルヘルム大公の収集に入った。日本語版ウィキペディアによれば、連作はヨンゲリンクの郊外の別荘テル・ベーケの一室に飾られていた。
意義
館によれば、当時のネーデルラントでは新年が3月1日に始まったので、自然が新しい年へと目覚めるさまを描く本作は、連作全体の最初の一点とみなされる。日本語版ウィキペディアによれば、ヨンゲリンクのために描かれた季節画の連作は6点で、そのうち5点が現存する。同じ館には、同じ連作の《雪中の狩人》と《牛群の帰り》もある。