《牛群の帰り》
- 作者
- ピーテル・ブリューゲル(父)
- 制作年
- 1565年
- 素材
- 板(オーク材) / 油絵具
- 寸法
- 117 × 159.7 cm
- 所蔵
- ウィーン美術史美術館
- 時代
- ルネサンス
- 流派
- 北方ルネサンス
葉を落とした木々の下、牧人たちが棒を手に牛の群れを村へ追い立てる。白い牛が先頭を進み、右奥には険しい岩山と、曲がりくねって流れる川の谷が開け、空には暗い雲が重なっている。
概要
《牛群の帰り》は、ネーデルラントの画家ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に描いた油彩の風景画で、ウィーン美術史美術館が所蔵する。館の題は「牛群の帰り(秋)」。館の記録では、オーク材の板に描かれ、縦117センチ、横159.7センチ、額を含めると縦135センチ、横178.5センチ。所蔵番号は絵画館1018で、館の絵画館X室に展示されている。左下の隅に「BRVEGE[L]」の署名の痕跡がある。
画面の読み解き
画面では、葉を落とした木々の下、棒や槍を手にした牧人たちが、放牧を終えた牛の群れを村のほうへ追い立てる。先頭近くには白い牛が進み、右には馬に乗った男と徒歩の男たちが続く。右奥には険しい岩山がそびえ、曲がりくねって流れる川の広い谷が遠くまで開ける。日本語版ウィキペディアによれば、画面手前の中央の牛の白と、画面上部の暗い雲の黒との対照が印象的で、牛の群れの動きと川の流れは対角線の上で並行している。中景ではブドウ摘み、遠景ではブドウ運びが描かれ、対岸では豚が飼われている。
技法・様式
館の解説によれば、山の牧場から牛を下ろすことは農民の一年の節目であり、ここでは題名となる場面になっているが、主題はむしろ、秋の色合いと雰囲気をまとい崇高さにまで高められた風景である。日本語版ウィキペディアによれば、秋の色彩と葉の落ちた木々から、本作は10月か11月に結びつけられる。
来歴
館の記録によれば、本作はアントウェルペンのニコラース・ヨンゲリンクの収集にあり、1594年にアントウェルペン市からエルンスト大公に贈られた。1595年の大公の遺産から皇帝ルドルフ2世に渡り、のちにレオポルト・ヴィルヘルム大公の収集に入った。日本語版ウィキペディアによれば、本作は季節を描いた6点の連作の一つで、晩春の作品は失われている。同じ館には、同じ連作の《暗い日》と《雪中の狩人》もある。
意義
館によれば、家路につく牛の群れを秋の図柄とすることはネーデルラントでは一般的でなく、ブリューゲルが新たに絵画に持ち込んだものである。それは、画家がスイスを通った旅の道筋で得た印象にもとづくのかもしれないという。