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《穀物の収穫》

The Harvesters
《穀物の収穫》ピーテル・ブリューゲル
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ピーテル・ブリューゲル(父)
制作年
1565年
素材
オーク・パネル / 油絵具
寸法
116.5 × 159.5 cm
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黄金色に実った麦畑で、農民たちが大鎌で麦を刈り、束ねていく。手前の大きな木の下では、仲間がパンとチーズ、かゆの昼食をとり、一人は大の字になって眠る。丘の向こうには村と池、遠くの港が霞む。

概要

《穀物の収穫》(英: The Harvesters)は、ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に描いた油彩画である。オーク材の板に描かれ、もとの画面は縦116.5センチ、横159.5センチで、後に上と下と右に細い板が足されている。ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する。アントウェルペンの商人ニクラース・ヨンゲリンクが郊外の邸宅のために注文した、季節や一年の時期を表す6点の連作の一つで、5点が現存する。所蔵館は、風景画の宗教的な口実が退けられ、身近な土地の観察にもとづく新しい人間中心の見方が現れた、西洋美術史の分水嶺となる作品と評している。

画面の読み解き

左手前では、男たちが大鎌で麦を刈り進め、右手の刈り終えた畑では、女たちが腰をかがめて麦を束ねる。刈り取った麦の束が畑に立ち並び、麦の壁のあいだの細い道を、水差しを持った男が上ってくる。中央の大きな木の下では、農民たちが輪になって昼食をとる。大きな三角の帽子の女がチーズの塊を切り分け、パンやかゆの椀を手にした人々が笑い合い、一人の男は木の根元で大の字になって眠っている。丘の向こうには、池のある村と、馬車の行く道、教会の塔が見え、さらにその先に船の浮かぶ海が霞む。

技法・様式

所蔵館の学芸員アダム・イーカーは、音声ガイドで、これは実在の風景ではなく、ブリューゲルは宗教や物語から離れた独立した風景画が生まれる最前線にいたと語る。ブリューゲルは視界の遠くまで見わたせる架空の風景を組み立て、そこに日々の暮らしの現実の細部を描き込んだ。所蔵館によれば、麦を束ねて身をかがめる女の三角形の姿は、刈り取った麦の形に重なり、人物が風景に溶け込むように見える。所蔵館の美術史年表の解説で、ジェイコブ・ウィッセはこの連作の主眼は季節ごとの労働よりも、風景そのものの雰囲気と移り変わりにあるとする。右下には「BRVEGEL / [MD]LXV」の署名と年記があるが、今ではほとんど読み取れない。

来歴

所蔵館によれば、注文主のヨンゲリンクはブリューゲルの作品を16点も所有していた。本作は1566年までに彼のもとにあり、1594年にアントウェルペン市の手に渡って、同年から1595年までネーデルラント総督のエルンスト大公が所有した。のちプラハの皇帝ルドルフ2世、レオポルト・ヴィルヘルム大公、ウィーンの皇帝レオポルト1世と、ハプスブルク家の収集に伝わる。1809年から1816年まではフランスのアンドレオシ伯爵、ついでパリのジャック・ドゥーセ、ブリュッセルのポール・ジャン・セルスの手を経て、1919年にロジャーズ基金で所蔵館が購入した。所蔵番号19.164。現在は第638室に展示されている。連作のうち3点はウィーン美術史美術館にあり、《雪中の狩人》もその一つである。

意義

所蔵館は、ブリューゲルが裕福な都市の注文主の好みに応え、農作業の苦労よりも自然との調和と季節の実りを強調して、農民を共感を込めつつ理想化して描いたとする。音声ガイドに登場する食物史家リンダ・チヴィテッロは、パンが主食だった16世紀に、パンに添えるものまである人々の食卓を、恵まれた豊かな実りの姿として読む。本作は、中世の月暦図の伝統を受け継ぎながら、一枚の独立した風景画として季節の暮らしを描き出した。