《セーヌ河畔のお嬢さんたち(夏)》
セーヌの岸辺、木陰の草の上に二人の女が寝そべっている。手前の一人は目を閉じ、後ろの一人は肘をついてこちらの外を見る。田舎の娘ではなく、都会から来た女たちである。
概要
《セーヌ河畔のお嬢さんたち(夏)》(仏: Les Demoiselles des bords de la Seine (été))は、ギュスターヴ・クールベが1856年末から1857年初めにかけて描いた油彩画である。縦174センチ、横206センチ。パリのパリ市立プティ・パレ美術館が所蔵する。夏の午後の川辺という日常の一場面を、写実主義らしく理想化せずに、歴史画にあてる大きさで描いた作である。
画面の読み解き
川べりの木陰、草の上に二人の女が横たわる。手前の一人は白い薄地の部屋着のまま身を横たえ、目を閉じている。腕には金の細い腕輪をはめ、片手を前へ投げ出している。その後ろで、もう一人が肘をついて身を起こし、白い帽子をかぶって画面の外を見る。手もとには野の花の束が置かれ、腕には赤い玉の腕輪がある。右の木の枝には赤いリボンと花を飾った帽子が掛かっている。左には川に舫われた小舟が浮かび、対岸と淡い空が見える。足もとには脱いだ編み上げ靴が転がる。左下に「G. Courbet」の署名がある。
技法・様式
主題は日常の休息だが、画面の大きさは歴史画のものである。人物は画面の手前いっぱいに置かれ、鑑賞者はほとんど二人の足もとに立つ位置に置かれる。布の模様やレースは絵具を重ねて厚く起こされ、背後の水と葉はこすりつけるような筆で処理される。理想化を避け、顔立ちも姿勢もそのまま描く扱いが、当時の目には露骨と映った。
来歴
1857年6月15日に開いたサロンに出品された。同時代の都会の女を、田園の娘にも神話の人物にも置き換えずに、この大きさで描いたことが論議を呼んでいる。批評は主題の扱いに集中した。作品は支援者エティエンヌ・ボードリの手に渡り、のちに画家の妹ジュリエット・クールベが受け継いだ。1906年8月4日、ジュリエットからパリ市へ寄贈されている。所蔵番号PPP377。縦96.5センチ、横130センチの小型の版がロンドンのナショナル・ギャラリーにあるが、同館はクールベ本人の作とは断定していない。
意義
働く人々を描いた《オルナンの埋葬》や《石割人夫》に続き、クールベが都会の余暇に目を向けた作である。6年後にエドゥアール・マネが《草上の昼食》で示すことになる問題——同時代の女をそのまま大画面に置くこと——が、ここですでに提起されている。