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《アラクネの寓話》

Las hilanderas
《アラクネの寓話》ディエゴ・ベラスケス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ディエゴ・ベラスケス
制作年
1655–1660年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
220 × 289 cm
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手前の薄暗い仕事場で、女たちが糸車を回し、糸を巻き取っている。その奥の明るい小部屋では、兜をかぶった女神が片腕を上げ、神話の場面を織ったタペストリーの前で、着飾った女性たちが向き合う。

概要

《アラクネの寓話》(西: Las hilanderas o la fábula de Aracne)は、ディエゴ・ベラスケスが描いた油彩画で、《織女たち》の名でも知られる。縦220センチ、横289センチのキャンバスで、マドリードのプラド美術館が所蔵する。所蔵館は制作を1655年から1660年とし、晩年の10年間の傑作として《ラス・メニーナス》と並べる。長くマドリードのサンタ・イサベルのタペストリー工房の日常を描いた絵と考えられてきたが、1930〜1940年代の研究で、織物の腕を女神と競った娘アラクネの神話を描いた神話画であることが明らかになった。スペイン・バロック絵画を代表する一点である。

画面の読み解き

手前の薄暗い仕事場では、白い頭巾の年配の女が糸車を回しながら、赤いカーテンを持ち上げる若い女を振り返る。中央では赤いスカートの女が床の羊毛を扱い、右では白いブラウスに紺のスカートの若い女が、背中を見せて糸を玉に巻き取っている。足元には猫が丸くなる。奥の一段高い小部屋は明るく照らされ、壁のタペストリーの前で、兜をかぶった女神パラス(ミネルウァ)が片腕を上げてアラクネと向き合う。オウィディウスの『変身物語』が伝える神話で、所蔵館によれば、アラクネはユピテルの変身の数々を織り、思い上がりを罰されて蜘蛛に変えられる。奥のタペストリーには、ユピテルが牡牛の姿でエウロペをさらう場面が織られている。

技法・様式

所蔵館の百科事典によれば、奥のタペストリーは、ティツィアーノがフェリペ2世のために描いたポエジアの一つ《エウロペの略奪》を写している。1628〜1629年にマドリードを訪れたルーベンスはこの絵を模写しており、ベラスケスは当時ルーベンスと仕事場を共にしてそれを見ていた。神と人間の技比べという主題の中で、二人の大先輩に挑む自らの位置を示したと読まれている。手前の職人仕事と奥の神話を、芸術の手の仕事と知の仕事に重ねる解釈もある。回る糸車は輪の中の輻が消えたように描かれ、動きを写すことが画家の最高の技だとする古代ローマのプリニウス以来の考えと結びつけられる。右の白いブラウスの女は、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画の人物を写したものだという。

来歴

所蔵館によれば、本作は二つの段階を経て今の姿になった。ベラスケスが描いたのは人物と奥のタペストリーの部分で、18世紀に、上に半円のアーチと丸窓を含む50センチ以上の帯が、左右と下にもより細い帯が継ぎ足された。そのため奥の場面が遠のき、長く日常の情景として見られることになった。1664年に王の狩猟官ペドロ・デ・アルセの財産目録に「アラクネの寓話」として記録され、のちメディナセリ公爵の手を経て1711年にマドリードの王宮に入った。1734年の王宮の火災で傷んだとみられる。1772年には新王宮の目録に982番として載り、左下の隅にその番号が残る。1819年、開館した年のプラド美術館に移された。所蔵番号P001173。現在は第15A室に展示されている。

意義

所蔵館の百科事典は、本作を《ラス・メニーナス》と並ぶベラスケスの最も開かれた複雑な作品で、意味の点では最も謎めいた作品の一つとする。王侯の徳と悪徳を説く政治的な寓意、画家自身の貴族への望み、取り持ちの暗示、ルクレティアの物語とみる説など、解釈は数多く、ときに相反する。写実的な情景の奥に神話が隠れていると最初に疑ったのは哲学者オルテガ・イ・ガセーや美術史家アングロで、財産目録の記述がそれを裏づけた。制作時期にも異論があり、《ラス・メニーナス》より後とみる説のほか、1649年の2度目のイタリア旅行の少し前とみる説もある。所蔵館は、ヴェネツィアのティツィアーノ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスという、館の収集の柱となる三人が一枚にそろう作品だとしている。