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《バルコニー》

Le Balcon
《バルコニー》エドゥアール・マネ
Wikimedia Commons / オルセー美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エドゥアール・マネ
制作年
1868–1869年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
170 × 124.5 cm
流派
写実主義
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緑の鎧戸を開け放ったバルコニーに、白い服の女性が二人。一人は手すりに肘をかけて座り、一人は手袋に手をかけて立つ。後ろには黒い服の男が立ち、奥の暗がりには少年の姿がかすかに見える。

概要

《バルコニー》(仏: Le Balcon)は、フランスの画家エドゥアール・マネが1868年から1869年にかけて描いた油彩画である。縦170センチ、横124.5センチのキャンバスで、パリのオルセー美術館が所蔵する。所蔵館によれば、当時はブルジョワの暮らしの情景が流行の画題だったが、本作は当時の人々の期待に何ひとつ応えなかった。描かれた人物はみな画家の親しい人々で、身じろぎもせず、それぞれが心のうちの物思いに沈んでいるように見える。物語も逸話もない画面で、マネはアカデミスムの決まりから自由になった。

画面の読み解き

画面の両端に緑の鎧戸が開き、手前には緑に塗られた鉄の手すりが斜めの格子を組む。文化省の作品目録によれば、人物は4人いる。左に座るのは画家ベルト・モリゾで、手すりに肘をかけ、閉じた扇を手にする。右に立つのはヴァイオリン奏者ファニー・クラウスで、手袋に手をかけ、緑の日傘を持つ。二人の後ろに立つ男は画家アントワーヌ・ギユメで、奥の暗がりには少年レオン・レーンホフが召使いの姿で描かれる。モリゾの足もとには小さな犬が座り、左下には青い花を植えた鉢が置かれる。所蔵館によれば、モリゾはこの絵ではじめてマネの作品に登場し、のちにマネが好んで描くモデルとなった(《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》など)。

技法・様式

所蔵館によれば、ゴヤの《バルコニーのマハたち》への言及は明らかだが、マネはそれを物語のない現代の情景に置き換えた。鮮やかな色、とくに手すりと鎧戸の緑や男のネクタイの青、白いドレスと暗い背景の激しい対比が、見る者を挑発するように働いた。人物と物のあいだの格の違いも守られず、花は、いくつかの顔よりも丁寧に描き込まれている。日本語版ウィキペディアによれば、哲学者ミシェル・フーコーは講演「マネの絵画」で、鉄柵と鎧戸が繰り返す縦と横の線がキャンバスの平らさを強め、室内が真っ暗で奥行きがないことを指摘し、本作をルネサンス以来の約束事を退けた例として論じた。

来歴

文化省の作品目録によれば、本作は1869年のパリのサロンと、同年のブリュッセルの美術展に出品された。所蔵館によれば、サロンでは戸惑いが大勢を占め、風刺画家シャムは「鎧戸を閉めろ!」と皮肉り、ある批評家はマネを「ペンキ屋と張り合う」と攻撃した。画家の没後、1884年2月4日にパリのドルーオ競売場で開かれたマネの売り立てに出され、画家ギュスターヴ・カイユボットの持ち物となった。カイユボットの遺贈により1894年に国の所有となり、1896年にリュクサンブール美術館に入る。1929年にルーヴル美術館へ移され、1986年からオルセー美術館にある。所蔵番号はRF 2772で、1階の第12室に展示されている。

意義

所蔵館は、伝統や約束事、本当らしさからこれほど自由になった絵が最初の観客に衝撃を与えたのは驚くにあたらないと結ぶ。日本語版ウィキペディアによれば、発表時の批評家は人物を「もの」のように描いたと批判したが、今日では、近代の人々のあいだの無関心を鋭くとらえた点にマネの本質があると考えられている。シュルレアリスムの画家ルネ・マグリットは、人物を棺に置き換えたパロディ《マネのバルコニー》を描いた。