《神々の饗宴》
- 作者
- ジョヴァンニ・ベッリーニ 、 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
- 制作年
- 1514–1529年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 170.2 × 188 cm
- 時代
- ルネサンス
木立の下の草地で、神々やニンフ、サテュロスが酒を酌み交わし、果物を食べている。右端では眠るニンフの衣を男がそっと持ち上げようとし、左ではロバが首をもたげる。背後には大きな岩山がそびえる。
概要
《神々の饗宴》は、ヴェネツィアの画家ジョヴァンニ・ベッリーニが描き、のちにティツィアーノ・ヴェチェッリオが手を入れた油彩の神話画で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。館の記録では縦170.2センチ、横188センチのキャンバスで、年代は1514〜1529年とされる。館の記事によれば、フェラーラ公アルフォンソ・デステが1500年代の初めにベッリーニに注文した作品で、公の城の「アラバスターの書斎(カメリーノ・ダラバストロ)」のための連作の最初の一点だった。
画面の読み解き
館の記事によれば、主題はオウィディウスの『祭暦』の一場面である。右端では、好色な豊穣の神プリアポスが、眠るニンフのロティスの衣を持ち上げようとしているが、ロティスは気づいていない。左のロバはいまにもいななこうとしており、その声でロティスが目を覚まし、プリアポスは逃げ出すことになる。中央近くには使者の神メルクリウスがいて、酒の神バッカスの姿もある。右下の木の桶に貼られた紙片には「joannes bellinus venetus / p MDXIIII(ヴェネツィアのジョヴァンニ・ベッリーニ、1514年作)」と記されている。
技法・様式
館の記事によれば、1516年にベッリーニが没したのち、画家ドッソ・ドッシとティツィアーノが大きな変更を加え、背景の大きな岩山の風景を描き足した。右上の木々や梢のキジはドッシの手によるとみられる。ティツィアーノの変更は、公の収集のほかの作品と画面を調和させるためだったと考えられている。修復の調査によって、二人の手が入る前の姿もおおよそ分かるようになった。
来歴
館の来歴によれば、作品はフェラーラ城の書斎に1598年まで置かれ、その年に教皇特使のピエトロ・アルドブランディーニ枢機卿が城から接収してローマへ運んだ。その後アルドブランディーニ家、ボルゲーゼ家に伝わり、1796〜1797年に画家ヴィンチェンツォ・カムッチーニの収集に入った。1853年にノーサンバランド公が購入し、アニック城に置かれた。1916年に売却され、ワイドナー家の収集を経て、1942年に館に寄贈された。所蔵番号は1942.9.1で、西館の本階17室に展示されている。
意義
館の記事は、公の書斎のためにティツィアーノがほかに《バッカスとアリアドネ》や《アンドロス島のバッカス祭》を描いたことを紹介し、公の権力や神々の威厳以上に、画家たちの技量こそが、この絵を忘れがたいものにしていると結んでいる。