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《イザベラとバジルの鉢》

Isabella and the Pot of Basil
《イザベラとバジルの鉢》ウィリアム・ホルマン・ハント
Wikimedia Commons / レイング・アート・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ウィリアム・ホルマン・ハント
制作年
1867年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
187 × 116.5 cm
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白い薄手の寝間着の若い女性が、刺繍の布をかけた台の上の大きな鉢に頭をもたせ、長い髪を鉢に垂らしている。鉢からはバジルが茂り、縁には髑髏の飾りが見える。奥の部屋には乱れた寝台、天井からはランプが下がる。

概要

《イザベラとバジルの鉢》は、イギリスの画家ウィリアム・ホルマン・ハントが1867年に描いた油彩画で、ニューカッスル・アポン・タインのレイング・アート・ギャラリーが所蔵する。縦187センチ、横116.5センチの縦長のキャンバスに描かれている。館を運営するノース・イースト・ミュージアムズは、本作をバーン=ジョーンズの《ラウス・ウェネリス》と並ぶ館の二大名作の一つに挙げ、愛と悲しみと執着を探る、豊かで細部まで描き込まれた物語画と紹介している。

画面の読み解き

同じ構図の小型版を持つサンフランシスコ美術館によれば、主題はボッカッチョの『デカメロン』(1353年)の一話を、イギリスの詩人ジョン・キーツが1818年に詩にしたものである。イザベラは、殺された恋人の遺体を掘り起こし、その首をバジルの鉢に隠して、涙で育てる。画面では、彼女が刺繍の布をかけた祈祷台のような台に寄りかかり、髑髏の飾りのついた鉢に髪を垂らしてすがりつく。奥の部屋には抜け出したばかりの寝台が見える。

技法・様式

ラファエル前派の画家らしく、床の大理石、寄木細工の台、刺繍の布、玉虫色に光る陶器の鉢や水差しまで、あらゆる物が精密に描き込まれている。サンフランシスコ美術館は、この主題の選択に、中世と初期ルネサンスの文化へのハントの強い関心が表れていると述べる。

来歴

同館によれば、ハントと妻ファニーは1866年にフィレンツェへ旅し、妻はその地で亡くなった。本作の制作は喪の営みでもあり、イザベラのモデルには妻の面影が用いられた。ハントはこの構図に深い思いを抱き、2度描いた。最初の版が本作で、小型の版(1867〜1868年)はサンフランシスコ美術館にある。

意義

同じキーツの詩からは、ラファエル前派の結成直後にミレーが《ロレンツォとイザベラ》を描いている。ミレーが兄弟とともに食卓に着く恋人たちを描いたのに対し、文学に取材したこの歴史画は、恋人を失ったあとのイザベラの悲嘆を一人の姿に凝縮している。ハントの作品には、ほかに《世の光》や《良心の目覚め》がある。