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《アクタイオンとカリストのいるディアナとニンフの水浴》

Das Bad der Diana mit Aktäon und Kallisto
《アクタイオンとカリストのいるディアナとニンフの水浴》レンブラント・ファン・レイン
Wikimedia Commons / アンホルト水城 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
レンブラント・ファン・レイン
制作年
1634年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
73.5 × 93.5 cm
所蔵
アンホルト水城 (ザルム=ザルム侯家の所蔵。2026年9月現在、公式サイトでは絵画ギャラリーは城内ガイドツアーに含まれていない)

レンブラントが1634年頃に描いた油彩画。森の泉で水浴する女神ディアナとニンフたちのもとに狩人アクタイオンが行き当たる場面と、ニンフのカリストの妊娠があらわになる場面を、一つの画面に描き合わせている。

概要

《アクタイオンとカリストのいるディアナとニンフの水浴》(独: Das Bad der Diana mit Aktäon und Kallisto)は、レンブラント・ファン・レインが1634年頃に描いた油彩画である。古代ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』から、貞潔の女神ディアナ(ギリシア神話のアルテミス)にまつわる二つの物語を選び、一つの森の水辺に描き合わせている。アムステルダムに移って間もない時期の、レンブラントには数少ない神話画の一つで、ドイツ西部のアンホルト水城に伝わるザルム=ザルム侯家の絵画コレクションに属する。

来歴

画面中央下寄りの岸辺に署名と年記がある。年記の最後の数字は読みにくく、オランダ美術史研究所(RKD)は制作を1634年頃(1632〜1635年)としている。18世紀にはザルム=ザルム侯家の所蔵となっており、1778年までに侯ルートヴィヒ・カール・オットーの収集に入っていた。当時の侯家の居所は現在のフランス東部にあるスノーヌだったが、1793年以前に侯コンスタンティンがアンホルトの居城へ移したとされ、以来、同家の所有のまま伝わっている。

画面の読み解き

画面の上半分以上を暗い森が占め、光は下の水辺に集まる。左では、狩りの途中で泉に行き当たった狩人アクタイオンが、猟犬を連れて立っている。女神の裸を見た罰として、頭にはすでに鹿の角が生えかけており、彼はやがて鹿に変えられ、自分の猟犬に引き裂かれる。水の中のニンフたちは、驚いて身を隠し、あるいは泳いで逃げようとしている。

右の岸辺では、裸のニンフたちが一人だけ衣服をまとったカリストを押さえつけ、その衣を引きはがしている。ディアナに従って純潔を誓ったカリストは、ユピテルに誘惑されて身ごもり、水浴の場でそれを知られて一行から追放される。のちに彼女は、ユピテルの妻ユノによって熊に変えられる。二つの物語はいずれも、性にかかわる過ちにディアナが罰を下す話である。

画面には、どちらの物語にも属さない人物もいる。前景のニンフの一人は、若く描かれるのが普通のニンフとしては珍しく中年の姿で、奥の暗がりには老夫婦らしい二人が見える。その意味はわかっていない。

技法・様式

カンヴァスに油彩で描かれている。暗い森を背景に、ニンフたちの白い肌と水面だけを明るく浮かび上がらせる強いキアロスクーロは、アムステルダムに移った1630年代前半のレンブラントが、聖書画や神話画で追求した劇的な効果の一つである。横1メートルに満たない画面に多くの小さな人物を配しながら、身をすくめる者、泳いで逃げる者、笑い声をあげる者と、ニンフたちの動きと表情を一人ずつ描き分けている。女神や妖精を古典彫刻のように理想化せず、生身の女性として描く点もレンブラントらしく、17世紀後半には、こうした裸体の描き方が古典の理想に反すると批判されることもあった。

意義

オウィディウスの『変身物語』は、17世紀オランダの画家たちにとって神話画の主な典拠で、画家で著述家のカレル・ファン・マンデルは、1604年の『画家の書』にその解説を収めている。アクタイオンとカリストの物語は、16世紀にティツィアーノがスペイン王フェリペ2世のために対の二点(《ディアナとアクタイオン》と《ディアナとカリスト》)として描いた主題でもあるが、レンブラントはそれを一枚にまとめた。裸を見た罪で罰せられるアクタイオンを、裸のニンフたちとともに私たちが見ているという構図から、見ることそのものを問う絵としても論じられてきた(ヴェルナー・ブッシュ「貞潔な見方と不貞な見方」1989年)。神話を主題とする歴史画に挑んだ若いレンブラントの野心を示す作品で、2世紀以上にわたって同じ一族の城に伝わってきた。