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《レパントの海戦の寓意》

Allegoria della battaglia di Lepanto
《レパントの海戦の寓意》パオロ・ヴェロネーゼ
Didier Descouens / アカデミア美術館 / CC BY-SA 4.0 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
パオロ・ヴェロネーゼ
制作年
1571–1572年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
170 × 137 cm
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画面の下半分では、無数のガレー船が入り乱れて戦う。上半分の雲の上では、白い衣の女性がひざまずいて聖母の前に導かれ、聖人たちと奏楽の天使が見守る。右上の天使は、トルコの艦隊へ燃える矢を放つ。

概要

《レパントの海戦の寓意》は、ヴェネツィアの画家パオロ・ヴェロネーゼの油彩の寓意画で、ヴェネツィアのアカデミア美術館が所蔵する。館の記録では縦170センチ、横137センチのキャンバスで、目録番号は212。館の第10室に展示されている。1571年10月7日のレパントの海戦で、教皇領・スペイン・ヴェネツィア共和国の神聖同盟の艦隊がオスマン帝国の艦隊を破った勝利を記念した絵である。イタリア文化省の2020年の紹介は、制作を海戦の直後としている。

画面の読み解き

館の解説によれば、この絵は、レパントの海戦でキリスト教徒の艦隊に与えられた神の加護を、伝わりやすい形で描いている。艦隊は暗い雲を引き裂く光の束に照らされ、一方トルコの船の上には雲から暗い光が降り注ぎ、さらに空を飛ぶ天使が燃える矢を射かける。それは聖母が守護する善の悪に対する勝利である。上部に現れた聖母を、神聖同盟に加わった国々の守護聖人、すなわち教皇領の聖ペテロ、スペインの聖ヤコブ、ヴェネツィア共和国の聖マルコが囲み、海戦の日がその祝日にあたる聖ユスティナが加わる。天使の楽団が演奏して見守るなか、全身白い衣でひざまずき手を合わせる人物が聖母の前に差し出される。この人物は「信仰」の像とも、ヴェネツィアの像とも解釈されてきた。文化省の紹介は、白い衣の女性をヴェネツィア共和国とし、聖ユスティナと聖マルコが聖母のもとへ導き、左には聖ペテロと聖ロクスがいるとしている。

技法・様式

館によれば、17世紀の著述家マルコ・ボスキーニはこの作品を「計り知れない力量」の作と評し、一般にはヴェロネーゼ一人の手になる作とみなされている。本作は、キリスト教世界とトルコとの戦いを主題とした、ヴェロネーゼの数多くの作品の一つである。一方、文化省の2020年の紹介は、本作を巨匠の素描にもとづく工房の制作とし、とりわけヴェネツィアの船が果たした決定的な役割をたたえるものとしている。

来歴

館によれば、本作はムラーノ島のサン・ピエトロ・マルティーレ聖堂の左側廊の第一祭壇の脇に置かれ、1573年からは向かい合う位置に、ヴェロネーゼと工房の《ロザリオの聖母》(同館、目録番号207)が掛けられていた。注文主は、ヴェネツィアに勝利の知らせを届けたオンフレ・ジュスティニアンとされることもあったが、海戦で勇敢に戦い、ムラーノに住んでこの聖堂に通ったピエトロ・ジュスティニアーニとみる説のほうが多い。1806年に国有となり、6年後の1812年にナポレオン時代の修道院の廃止を受けて館に入った。

意義

本作は、海戦の勝利を天上の加護の物語として描いた記念の絵である。同じ画家の作品には、同じ館の《レヴィ家の饗宴》や、プラド美術館の《ヴィーナスとアドニス》がある。