クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《レヴィ家の饗宴》

Convito in casa di Levi
《レヴィ家の饗宴》パオロ・ヴェロネーゼ
Wikimedia Commons / アカデミア美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
パオロ・ヴェロネーゼ
制作年
1573年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
560 × 1309 cm
広告

三つの大アーチの下に、貴族も料理人も道化も犬も猫も入り混じった宴が広がる。もとは《最後の晩餐》として注文された絵だが、この賑わいが異端審問に問われ、題名を変えることで決着した。

概要

《レヴィ家の饗宴》(伊: Convito in casa di Levi)は、パオロ・ヴェロネーゼが1573年に描いた油彩画である。縦560センチ、横1309センチ。16世紀でも最大級のキャンバス画で、同じ画家の《カナの婚礼》をさらに上回る。ヴェネツィアのアカデミア美術館が所蔵する。柱の台座に1573年4月の年記がある。

来歴

ドミニコ会のサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂の食堂には、ティツィアーノの《最後の晩餐》が掛かっていたが、1571年の火事で焼失した。その代わりとして同じ主題で注文されたのが本作である。1697年に食堂が再び焼けた際、画布は3つに切断されて丸められ、上部のエンタブラチュアと下部の帯が失われた。完全な姿はサーンレダムの版画に伝わる。1797年にフランス軍が持ち去ってパリで洗浄・裏打ち・大幅な加筆を受け、1815年にイタリアへ返還されてアカデミア美術館に収まった。1828年と1979〜1983年にも修復され、後者では過去の加筆とニスが除かれ、額の下に折り込まれていた画布の端が戻されて寸法がわずかに増えた。

画面の読み解き

三連のアーチが開く古代ローマ風の柱廊の下に、長い食卓が横たわる。中央のキリストは聖ペテロと聖ヨハネのあいだに座り、ペテロは仔羊を切り分けている。画面の左右に配された二組の階段が視線を中央へ導く。食卓のまわりには枢機卿や貴族、料理人や給仕だけでなく、道化、子ども、鼻から血を流す男、奴隷、ムーア人やトルコ人、酒に酔ったドイツ人、そして猫と犬までが描かれる。宗教画でありながら風俗画のような同時代の賑わいに満ちた画面である。

技法・様式

同時代の出来事のように聖書の場面を演出する方法は、《カナの婚礼》で確立したものをさらに推し進めている。銀灰色の光のもとに白や朱、青緑の衣を配し、建築の水平線と垂直線で大人数を整理するヴェネツィア派の色彩と構成が、十数メートルの画面にわたって保たれている。

意義

ヴェネツィアの異端審問所は、これらの人物が《最後の晩餐》には不適切であるとして画家を召喚した。ヴェロネーゼは、大きな画面の余白を埋める必要があったこと、そうした人物はキリストから離れた位置に置いたことを述べて弁明している。結局、絵は描き直されず、主題を「ルカによる福音書」5章のレヴィ家の宴に改め、その銘文を画面に記すことで決着した。画家の裁量がどこまで許されるかをめぐる、美術史上もっともよく知られた一件である。