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《ウィーン二連祭壇画》

Diptychon mit Sündenfall und Erlösung
《ウィーン二連祭壇画》フーゴー・ファン・デル・グース
Wikimedia Commons / ウィーン美術史美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フーゴー・ファン・デル・グース
制作年
1479–1482年
素材
オーク板 / 油絵具
寸法
33.8 × 45.8 cm

左の板では、緑の楽園の木の下で、裸のアダムとエヴァが禁断の実に手をのばし、人の顔をもつ蜥蜴のような蛇がそれを見守る。右の板では、十字架の立つ丘を背に、聖母や聖ヨハネたちが横たわるキリストの亡骸を囲んで嘆く。

概要

《ウィーン二連祭壇画》(独: Diptychon mit Sündenfall und Erlösung)は、フランドルの画家フーゴー・ファン・デル・グースが1479年以降に描いた、二枚の板からなる油彩の祭壇画である。左の板にアダムとエヴァの堕落を、右の板にキリストの哀悼を描き、人の罪とその贖いを対にして示す。各板は縦33.8センチ、横22.9センチのオーク材。ウィーン美術史美術館が所蔵する。

画面の読み解き

所蔵館によれば、左には楽園の広い風景のなかで人類の堕落が、右には処刑の場の草のない丘を前にしたキリストの哀悼が描かれる。左の板では、実をつけた木の下に裸のアダムとエヴァが立ち、エヴァは片手に実を持って、もう一方の手で枝の実をもぎ取る。ja.wp によれば、誘惑する蛇は、二本の足で立つ山椒魚のような生き物として表される。神に呪われて腹で這い、塵を食べるようになる前の蛇は歩くことができたと考えられていたためである。人の頭をもつ蛇は13世紀の終わりに美術に現れたが、のちのルネサンスの画家たちはおおむねこの姿をやめた。右の板では、十字架の立つ丘を背に、聖母と福音書記者聖ヨハネをはじめとする人々がキリストの亡骸を囲み、嘆き悲しむ。

技法・様式

オーク材の板に油彩で描かれる。所蔵館によれば、木々や草を細かく写し、人物を注意深く観察した左の板は、ヤン・ファン・エイクの芸術を思わせる。一方、右の板は、聖母と聖ヨハネの強い感情の表れと激しい動き、それを映して幾重にも折れる衣の襞によって、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの表現の伝統に連なる。閉じたときに見える左の板の外側には、壁龕に置かれた石の彫像のように、灰色の濃淡だけで描いたパリの守護聖女ジュヌヴィエーヴがいる。ろうそくを吹き消す悪魔を持物とする。

来歴

所蔵館によれば、二枚の板はレオポルト・ヴィルヘルム大公の収集を経て館に入った。左の板はアンブラス城の収集にもあった。ja.wp によれば、1659年の大公の収集目録ではファン・エイクの作とされていた。右の板の裏には、黒い鷲の紋章の跡が残る。17世紀に描かれたもので、ハプスブルク家の所有を示すとみられる。外側の聖ジュヌヴィエーヴの面は、今は切り離されている。所蔵番号は GG 945 と GG 5822a。現在は絵画館の第17展示室に展示されている。

意義

ja.wp によれば、本作の状態を詳しく記述した美術史家ヴォルフガング・ケルマーは1967年に、人の堕落と贖いを対比するその主題が、二連祭壇画の歴史の中で他に例のないものだと述べた。所蔵館の解説が示すように、小さな二枚の板の中で、初期フランドル派の二人の先達の様式が描き分けられている。