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《天の川の誕生》

El nacimiento de la Vía Láctea
《天の川の誕生》ピーテル・パウル・ルーベンス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ピーテル・パウル・ルーベンス
制作年
1636–1638年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
181 × 244 cm
流派
バロック / フランドル・バロック絵画

星の散る夜空の雲の上で、白いヴェールをかぶった女神ユノが幼子に乳を含ませ、ほとばしる乳が星の帯となって流れていく。左には頬杖をつくユピテルと雷をつかむ鷲、右上には金の車を引く孔雀が見える。

概要

《天の川の誕生》は、フランドルの画家ピーテル・パウル・ルーベンスが1636年から1638年にかけて描いた油彩の神話画で、マドリードのプラド美術館が所蔵する。縦181センチ、横244センチのキャンバスで、所蔵番号はP001668。スペイン王フェリペ4世が、マドリード郊外エル・パルドの森の狩猟館トーレ・デ・ラ・パラーダを飾るためにルーベンスに注文した神話画の連作の一点である。ギリシア・ローマ神話で、女神ユノ(ヘラ)の乳が天にほとばしって天の川になったという話を描いている。

画面の読み解き

星の散る青い夜空に雲が広がり、その上に女神ユノが座る。白いヴェールをかぶり、真珠の首飾りと腕輪を着けたユノは、赤い衣を膝に掛け、乳房に手を添えて幼子に乳を含ませている。乳は細い筋となって右下へほとばしり、点々と光る星の流れに変わっていく。左ではユノの夫ユピテルが雲に腰を下ろし、頬杖をついて様子を見つめ、その足もとではユピテルの鳥である鷲が稲妻の束をつかんでいる。ユノの背後には金の車輪をもつ車があり、右上ではユノの鳥である二羽の孔雀がその車を引く。古代の伝えでは、乳を飲んだのは英雄ヘラクレス、あるいは神ヘルメスとされ、どちらと読むかは研究者の間でも分かれている。同じ話は、ヴェネツィアのティントレットも《天の川の起源》(1575年頃、ロンドン・ナショナル・ギャラリー)に描いている。

技法・様式

プラド美術館の百科事典によれば、トーレ・デ・ラ・パラーダの神話画は六十点余りにのぼり、多くはオウィディウスの『変身物語』に取材している。ルーベンスがそれらを構想し、本人と協力者たちが描いた。急な注文だったため、連作の絵は画家の普段の作より下描きのような筆致が目立つという。そのうちルーベンス自身の手になる14点が残り、すべてプラド美術館にある。本作はその一点である。

来歴

同百科事典によれば、トーレ・デ・ラ・パラーダは、フェリペ2世が建て、フェリペ4世が改修と拡張を行った狩猟のための館である。この装飾がルーベンスにとってフェリペ4世のための最も重要な仕事となった。画家は1636年の秋ごろに仕事を始め、ルーベンスの絵は1638年1月には仕上がって、3月11日にアントウェルペンを発ち、5月1日までにマドリードに着いた。注文はほかに、フランス・スナイデルスとみられる画家に任された動物画およそ60点と、ピーテル・スナイエルスの狩猟画少なくとも5点からなり、ベラスケスも何点かを描いた。

意義

同百科事典によれば、連作のための油彩の下絵はおよそ50点が残り、そのうち10点はプラド美術館にある。本作の下絵は、ブリュッセルのベルギー王立美術館が所蔵している。ルーベンスは同じ頃、自ら描いた本作のような完成作と、協力者に渡すための下絵とを並行して手がけ、六十点を超える神話画を2年足らずで王のもとへ届けた。