《木の実を集める少女たち》
森のはずれの草地で、髪に赤いリボンを結んだ少女が腹ばいになり、隣に座る素足の少女を見上げる。座った少女は、ハシバミの茂みから摘んだ実を両手に包んでいる。
概要
《木の実を集める少女たち》は、フランスの画家ウィリアム・アドルフ・ブグローが1882年に描いた油彩画で、デトロイト美術館が所蔵する。館の題は《ヘーゼルナッツ(木の実を集める少女たち)》で、フランス語の原題は《Les Noisettes(ハシバミの実)》。館の記録では、キャンバスに油彩で、縦87.6センチ、横134センチ(額込みで縦113.3センチ、横158.4センチ)。所蔵番号は54.458で、1954年にウィリアム・E・スクリップス夫人から寄贈された。左下に「W-BOVGVEREAV-1882」の署名と年記がある。
画面の読み解き
館の解説によれば、本作は森のはずれの理想化された田園に、二人の少女を描いている。飾り気のないブラウスと胴着は、農村の暮らしを思わせる。年上の少女は、後ろの茂みから集めたヘーゼルナッツを手にする年下の少女を見守っている。画面では、赤いリボンの少女が草の上に腹ばいになって両手を組み、黒髪の少女は脚を投げ出して座り、両手に実を包んで隣の少女に顔を向ける。二人とも素足で、背後には茂みが暗く広がり、右奥にだけ明るい水辺と空がのぞく。
技法・様式
館によれば、ほぼ等身大の人物は、なめらかに正確に描かれている。抑えた色調の画面を、年上の少女の髪の赤いリボンが明るくしている。日本語版ウィキペディアによれば、ブグローは19世紀フランスのアカデミスム絵画を代表する画家で、神話や天使とともに少女を題材とした絵を多く残し、可憐な子どもの像や憂いを帯びた若い女性の像に独特の世界を築いた。こうした農家の娘を主人公にした絵は、身近な暮らしを描く風俗画の伝統にも連なる。
来歴
館の来歴によれば、ブグローは1882年11月22日に本作をパリの画商アドルフ・グーピル商会に売り、12月5日にはニューヨークの画商サミュエル・P・エイヴリーの手に渡った。1884年までにニューヨークの収集家メアリー・ジェーン・モーガンが所有し、その没後の1886年3月、アメリカン・アート・アソシエーションの競売に出た。同じ年、デトロイトの新聞社主ジェームズ・E・スクリップスが購入し、息子ウィリアム・E・スクリップス夫妻に受け継がれたのち、1954年に館へ寄贈された。
意義
館の解説によれば、19世紀の終わりには、農民を描いた主題がとくにイギリスやアメリカの収集家のあいだで人気を集めた。画家の画商が本作を買ってまもなくアメリカの買い手に勧めたとき、その値段は3倍になったという。英語版ウィキペディアは、本作をデトロイト美術館で最も人気のある作品の一つとしている。ブグローの田園の少女は、《姉》や《若い羊飼いの娘》などにも見られ、この2点もアメリカの美術館にある。