《昼食》
- 作者
- ディエゴ・ベラスケス
- 制作年
- 1617年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 108.5 × 102 cm
- 所蔵
- エルミタージュ美術館
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- スペイン・バロック絵画
白い布をかけた食卓を三人の男が囲む。左では白いひげの老人が皿に手を伸ばし、中央の少年は笑いながらガラスの瓶を掲げ、右の若者はこちらを向いて親指を立てる。卓上にはパンとざくろ、酒の入ったグラスが並ぶ。
概要
《昼食》(露: Завтрак)は、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスが1617年頃に描いた油彩画である。縦108.5センチ、横102センチのキャンバスで、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する。所蔵館が Google Arts & Culture に寄せた解説によれば、画家がセビーリャにいた初期の作品で、この頃のベラスケスは、ボデゴンと呼ばれる風俗画を好んで描いた。
画面の読み解き
暗い壁を背に、白い布をかけた食卓を三人の男が囲む。左の老人は茶色の服を着て白いひげをたくわえ、身を乗り出して皿のほうへ手を伸ばす。中央の少年は白い襟の暗い服を着て、歯を見せて笑い、赤い酒の入ったガラスの瓶を持ち上げる。右の若者は黄土色の上着に白い襟をつけ、こちらを向いて右手の親指を立てる。卓上には、貝の入った鉢、黄色い酒のグラス、丸いパン、割れたざくろ、ナイフが置かれる。背後の壁には、白いひだ襟のついた帽子がつるされ、右上には剣の柄がのぞく。光は左上から差し、三人の顔と白い布、卓上の品々を強く照らす一方、背景はほとんど闇に沈む。老人の額や頬には深いしわが刻まれ、右の若者は左腕を卓に載せてくつろいでいる。
技法・様式
所蔵館によれば、主題の選び方と光と影の鋭い対比に、カラヴァッジョ風の様式がはっきり表れている。三人は明らかに実物のモデルから、生き生きとのびやかな筆で描かれた。卓上の品々は一つずつ離して並べられ、これは当時のスペインの静物画に典型的なやり方だった。メトロポリタン美術館の論考によれば、ベラスケスは師の理想化した描き方から早くに離れて実物をもとに描き、カラヴァッジョの自然主義にならって、劇的な表情の人物を無地の背景に鋭い光で浮かび上がらせ、沈んだ色でしっかりと形づくった。
来歴
メトロポリタン美術館の論考によれば、ベラスケスは1611年からセビーリャの画家フランシスコ・パチェーコのもとで6年間の修業を積んだ。本作はその修業を終えた頃の作にあたる。所蔵館によれば、エルミタージュ美術館には1774年より前に入った。館のロシア語の題《Завтрак》は「朝食」の意で、英語では《Luncheon》と呼ばれている。
意義
所蔵館によれば、本作に描かれた三人のモデルは、画家のほかの作品にも登場する。右の若者は、おそらくベラスケス自身の肖像だという。メトロポリタン美術館の論考によれば、セビーリャ時代のベラスケスは、台所や居酒屋の情景であるボデゴンを専門とし、宗教的な場面を背景に小さく添えることもあった。のちにマドリードの宮廷で《ラス・メニーナス》などを描く画家の、最初期の仕事の一つである。