《家族の集い》
南仏の夏の昼下がり、大きな木の陰になったテラスに一族が集う。青いドレスの母と白い服の父が腰かけ、水玉模様のドレスの娘がまっすぐこちらを見る。左端には、画家自身が長身を少しかがめて立っている。足もとには花束と帽子。
概要
《家族の集い》(仏: Réunion de famille)は、フレデリック・バジールが1867年から1868年頃に描いた油彩画である。縦152センチ、横230センチの大きなキャンバスで、パリのオルセー美術館が所蔵する。所蔵館によれば、夏の滞在中、モンペリエ近郊メリックにある一家の別荘のテラスに集まった親族を描いた集団肖像画で、画家自身も左端に立っている。1868年のサロンに入選した。シュルマンのカタログ・レゾネによれば、サロンへの出品題は《XXX家の肖像》だった。
画面の読み解き
所蔵館によれば、描かれているのは画家の父ガストン、母カミーユ、叔父ウジェーヌ・デ・ズールとエミール・トゥーロン、叔母アドリエンヌ・デ・ズール、いとこのテレーズ、カミーユ、ポーリーヌ、弟マルクとその妻シュザンヌ、そして画家自身である。一族は大きな木の陰に集まり、強い光と影が画面を分ける。ほとんどの人物が見る者のほうを向いているため、一人ひとりが肖像としても描かれ、姿勢はややこわばっている。手前の地面には、帽子と花束が置かれている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、本作はルノワールやモネとの親しい交わりのなかで生まれ、バジールが手に入れたばかりのモネの《庭の女たち》とも比べられる。カタログ・レゾネは、人物を戸外の風景のなかに溶け込ませることがバジールの大きな関心事で、本作はその探究をよく示すとする。男性たちは白い襟と蝶ネクタイで品よく装い、母の硬い姿勢と、いとこたちのくつろいだ姿勢の違いも描き分けられている。
来歴
所蔵館によれば、バジールは冬のあいだ画面に手を入れ、サロンに出品した1年後にも再び描き直して、小さな犬たちを静物に置き換えた。1868年のサロンでは、モネのより大胆な作品が落選したのに本作は入選し、バジールは審査員がきっと間違えたのだろうと書き送って驚いている。1905年、画家の弟マルク・バジールの協力で購入され、リュクサンブール美術館(1905〜1929年)、ルーヴル美術館(1929年から)、ジュ・ド・ポーム美術館(1947〜1986年)を経て、1986年からオルセー美術館にある。所蔵番号RF 2749。
意義
カタログ・レゾネは本作を、当時の絵画の大きな探究が凝縮された傑作とし、バジールの社会的な背景、家族、芸術上の個性を照らし出すと評する。家族の強い結びつきと、一人ひとりの肖像の画廊という二つの面をあわせ持つ作品である。1870年に普仏戦争で戦死したバジールが残した、印象派誕生前夜の代表作の一つとして知られる。