《勝利の聖母》
レモンやオレンジの実る緑のあずまやの下、大理石の玉座に聖母が幼子を抱いて座り、右手を差し伸べる。その足もとでは、鎧姿のマントヴァ侯が手を合わせてひざまずき、剣や槍を持った聖人たちが玉座を囲む。
概要
《勝利の聖母》(伊: Madonna della Vittoria、仏: La Vierge de la Victoire)は、イタリアの画家アンドレア・マンテーニャが1495年から1496年にかけて描いた祭壇画である。縦285センチ、横168センチのキャンバスにテンペラで描かれ、パリのルーヴル美術館が所蔵する。マントヴァ侯フランチェスコ2世・ゴンザーガが、フォルノーヴォの戦いを記念して注文した奉納画である。
画面の読み解き
ルーヴル美術館の2008年の展覧会の解説によれば、画面には軍事を思わせるものが少なくない。鎧をまとってひざまずく侯は、聖母への感謝を表す。大理石の玉座を囲む人物の中には、華やかな武装の3人の戦士がいる。左には宝石をちりばめた大剣を持つ聖ミカエル、右には折れた槍を持つ聖ゲオルギウスが立ち、後ろにはマントヴァの二人の守護聖人、十字架を持つ聖アンデレと、羽根飾りの兜をかぶる聖ロンギヌスが並ぶ。彼らは聖エリサベトと幼い洗礼者聖ヨハネとともに、レモンとオレンジの木で編んだ透かしのあずまやの下にいて、そこには鳥がとまっている。侯はこの絵の寄進者像でもある。
技法・様式
同解説によれば、玉座の台座には、金めっきのブロンズや石の浮彫をまねた場面が描かれ、マンテーニャはだまし絵の手法で彫刻の効果と競い合った。あずまやの果実や珊瑚の飾り、聖人たちの鎧や織物は細部まで描き込まれ、聖母の差し伸べる手と侯の合わせた手が、画面の中心で向かい合う。
来歴
館によれば、本作は、侯がマントヴァのサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア礼拝堂のために注文した奉納画である。2008年の展覧会の解説によれば、戦いから1年後、厳かな行列によって新しい聖堂へ運ばれた。1797年までその場にあったが、取り外されて1798年にルーヴルへ運ばれ、戦利品としてそのまま館に残った。所蔵番号はINV 369。いまはドゥノン翼のグランド・ギャラリー(第710室)に展示されている。
意義
同解説によれば、本作は、1495年7月6日にパルマ近郊のフォルノーヴォで、フランス王シャルル8世の軍に対して挙げた疑わしい勝利を記念するものだった。マンテーニャは1460年からゴンザーガ家の宮廷画家を務めており、本作は宮廷画家として手がけた大作の一つである。2008年にはルーヴル美術館の展覧会「マンテーニャ 1431-1506」に出品された。