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《シャルパンティエ夫人とその子どもたち》

Madame Charpentier et ses enfants
《シャルパンティエ夫人とその子どもたち》ピエール=オーギュスト・ルノワール
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / CC0 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ピエール=オーギュスト・ルノワール
制作年
1878年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
153.7 × 190.2 cm
流派
印象派
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1878年、出版人ジョルジュ・シャルパンティエの注文でルノワールが描いた大画面の家族像。パリ・グルネル通りの邸宅の私室で、黒いドレスの夫人と、そろいの青い服の子ども2人、寝そべる大型犬が一つの群れをなす。

概要

《シャルパンティエ夫人とその子どもたち》(仏: Madame Charpentier et ses enfants)は、ピエール=オーギュスト・ルノワールが1878年に描いた油彩画である。出版人ジョルジュ・シャルパンティエの妻マルグリットと、娘ジョルジェット、息子ポールを描いた大画面の肖像で、翌1879年のサロンに出品されて大きな成功を収めた。メトロポリタン美術館が所蔵する。

来歴

シャルパンティエ夫妻は、ゾラら自然主義の作家を世に出した出版人の一家で、1870年代から印象派の作品を買い集めていた。マルグリットは毎週金曜にグルネル通りの自宅でサロンを開き、作家や画家、音楽家、政治家を集めている。ルノワールは1876年に娘ジョルジェットの肖像、次いで息子ポールと夫人自身の肖像を任され、その評判が本作の注文につながった。1879年のサロンには第2527番として出品され、夫人の口ききで見やすい位置に掛けられて画家の名を一気に知らしめる。ルノワールはこの年、第4回印象派展への出品を見送った。1904年に夫人が、翌年に夫が没すると遺族は収集品を競売にかけ、画商ポール・デュラン=リュエルに説得されたメトロポリタン美術館が、1907年4月に8万4千フランで購入した。所蔵番号は07.122。

画面の読み解き

場所は寝室の隣にある夫人の私室で、当時の作法では客を通さない私的な空間である。背後には孔雀を描いた日本風の屏風が立ち、右手には竹の家具と花を生けた壺、菓子を盛った皿が見える。夫人は喉元をリボンで留めた黒いドレスで長椅子に腰かけ、微笑んで子どもたちを見ている。中央に座るのが3歳の息子ポール、左でニューファンドランド犬のポルトスの背に腰かけるのが6歳の娘ジョルジェットである。当時のフランスでは4、5歳までの男児も女児と同じ服を着せられたため、二人はそろいの青い服と同じ髪型をしている。犬の白と黒の毛並みは、夫人のドレスの白と黒の対比を繰り返す。画面右下に「Renoir 78」の署名と年記がある。

技法・様式

キャンバスに油彩で、大きさは153.7×190.2センチ。夫人の黒いドレスは「オートクチュールの父」と呼ばれるシャルル・フレデリック・ウォルトの仕立てで、レースと絹の光沢が柔らかい筆で捉えられている。輪郭線を引かず、色を細かく置き重ねて光と質感をつくる筆触分割は室内の描写にも生かされ、屏風の金地、絨毯の模様、子どもたちの髪は、近づくと絵具の斑として見える。一方、人物の確かな量感と画面の格式は、サロンで求められる大画面の肖像画の伝統に沿っている。

意義

本作の成功は、ルノワールが印象派の仲間との共同展から離れ、サロンと注文肖像画へ向かう転機となった。個人の邸宅の私室を、注文主の趣味と地位を語る舞台として描いた点で、19世紀後半の肖像画の一つの型を示している。1882年にジョン・シンガー・サージェントが描いた《エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち》は、サロンで本作を見た経験を下敷きにしているとみられる。