《ぶらんこ》
木漏れ日がまだらに落ちる庭で、青いリボンの白いドレスの女性がぶらんこに立ち、背を向けた男と言葉を交わす。木にもたれた髭の男と小さな女の子がそれを見つめ、奥には人々の姿がかすかに見える。
概要
《ぶらんこ》(仏: La Balançoire)は、フランスの画家ピエール=オーギュスト・ルノワールが1876年に描いた油彩の風俗画で、パリのオルセー美術館が所蔵する。縦92センチ、横73センチのキャンバスで、右下に「Renoir. 76.」の署名と年記がある。所蔵館によれば、ぶらんこに立つ若い女性と、こちらに背を向けて話しかける男、それを見守る少女と木にもたれる男を描き、ふと耳にした会話の一瞬をとらえたような印象を与える。
画面の読み解き
所蔵館によれば、奥には5人の人物が素早い筆でざっと描き込まれている。白いドレスに青いリボンを並べた女性は、片手でぶらんこの綱を握り、もう一方の手を耳元に添えて、伏し目がちに男の言葉を聞く。麦わら帽子の男たちの青い上着や女性のドレス、地面には、葉の間からこぼれる日の光が明るい斑点となって散らばる。左端では小さな女の子が、大人たちを見上げている。
技法・様式
所蔵館によれば、ルノワールがこの絵で何よりも描こうとしたのは、葉を通して和らげられた日の光の効果で、それを明るい色の筆触で画面に置いた。本作は、同じ1876年の夏に描かれた《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》とよく似ており、何人かのモデルは両方の絵に登場する。
来歴
所蔵館によれば、1877年4月以前に画家で収集家のギュスターヴ・カイユボットが手に入れた。1894年のカイユボットの死後、その遺贈品として1896年に国に受け入れられ、リュクサンブール美術館に入った。1929年にルーヴル美術館、1947年に同館のジュ・ド・ポーム館へ移され、1986年にオルセー美術館に移管された。現在は展示室に出ていない。
意義
所蔵館によれば、本作は1877年の第3回印象派展に出品されたが、批評家たちは木漏れ日を描こうとするこの試みを認めなかった。それでもカイユボットは、《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》とともに本作を買い取った。所蔵館の記録によれば、本作は1933年のオランジュリー美術館のルノワール回顧展をはじめ、1970年代以降はロンドン、パリ、ボストン、東京などで開かれたルノワールの回顧展や印象派の展覧会に、たびたび出品されている。