《ホロフェルネスの首を斬るユディト》
- 作者
- アルテミジア・ジェンティレスキ
- 制作年
- 1620年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 199 × 162.5 cm
- 所蔵
- ウフィツィ美術館
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- イタリア・バロック絵画
暗闇のなか、寝台に仰向けにされた髭の男を、二人の女性が袖をまくって押さえつける。右のユディトは男の髪をつかみ、十字架の形の柄をもつ剣を首に突き立てる。白い敷布には赤い血が流れ、その飛沫はユディトの胸もとにまで届く。
概要
《ホロフェルネスの首を斬るユディト》(伊: Giuditta decapita Oloferne)は、イタリアの画家アルテミジア・ジェンティレスキが1620年頃に描いた油彩画である。縦199センチ、横162.5センチ。旧約聖書の外典『ユディト記』から、ユダヤの女性ユディトが侍女とともに敵の将軍ホロフェルネスを討つ場面を描く。画家は同じ主題を数年前にも描いており、本作はその二作目にあたる。ウフィツィ美術館が所蔵する。
画面の読み解き
所蔵館によれば、ベトリアの若いユダヤ女性ユディトは、町を包囲するネブカドネツァルの軍の陣営に、晴れ着をまとって現れ、味方につくふりをした。その美しさにひかれた将軍ホロフェルネスは、天幕での宴に彼女を招く。飲み食いして酔いつぶれ、寝台で眠り込んだ将軍から、ユディトは三日月刀を奪って致命の一撃を加えた。画面では、決然とした力強いユディトが、寝台に仰向けになった酔った将軍の髪をつかみ、その首に剣を突き立てる。侍女は袖をまくり上げ、全身で将軍を押さえつける。ja.wp によれば、剣の柄が十字架の形をしているのは、二人の行いが神聖な目的のためであることを示す。館は、全体の効果は力強く恐ろしく、画家はユディトの胸もとまで染めるほどほとばしる血の、むごい細部さえ見せることをためらわないと述べる。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、本作は、画家がフィレンツェでの7年の滞在を終えて戻ったローマで仕上げられた。ローマではカラヴァッジョの作品との接点を取り戻すことができた。英語版ウィキペディアによれば、ナポリのカポディモンテ美術館にある1613年頃の一作目と比べると、構図や細部が細やかに改められ、キアロスクーロと写実が、ユディトと侍女アブラ、死にゆく将軍のあいだの激しい緊張を表している。
来歴
所蔵館によれば、トスカーナ大公コジモ2世・デ・メディチの注文による。本作がフィレンツェに送られると、その自然主義的な「男らしさ」が厳しい反発を招き、ギャラリーの目立つ場所に展示される名誉も与えられなかった。大公は制作の直後の1621年に没し、取り決めた報酬は大きく遅れ、画家の友人ガリレオ・ガリレイのとりなしによって、ようやく支払われた。所蔵番号は1890年の目録の1567番。現在は第D29室「カラヴァッジョとアルテミジア」に展示されている。
意義
所蔵館は、本作が今日、男性が支配する時代に画家になることを選んだ一人の女性の、人としての、また職業上の冒険をも物語っていると述べる。画家はローマ、フィレンツェ、ナポリの宮廷のために働き、イングランドにも渡り、フィレンツェの素描芸術アカデミーに女性として初めて迎えられた。