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《ヤコブの夢》

El sueño de Jacob
《ヤコブの夢》ホセ・デ・リベーラ
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ホセ・デ・リベーラ
制作年
1639年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
179 × 233 cm
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夕暮れの野に、茶色の衣の男が腕を枕にして眠っている。左からは葉の少ない木の幹が斜めに伸び、右上の空には、雲を割って金色の光の帯が立ちのぼる。その光のなかに、天使たちがかすかに浮かぶ。

概要

《ヤコブの夢》(西: El sueño de Jacob)は、ホセ・デ・リベーラが1639年に描いた油彩画である。縦179センチ、横233センチ。マドリードのプラド美術館が所蔵する。旧約聖書の『創世記』(28章)で、兄をだまして父の祝福を受けたヤコブが、伯父のもとへ逃れる途中に野で眠り、天に届く階段を天使たちが上り下りする夢を見る場面を描く。ナポリで活動したスペイン・バロック絵画の画家リベーラが、明るい色彩へ向かった時期の作品である。

画面の読み解き

画面の手前に、粗い茶色の衣をまとったヤコブが横たわり、腕を枕にして眠る。所蔵館によれば、ヤコブは左腕にもたれている。足にはサンダルを履き、もう一方の手は地面に投げ出されている。左からは、枝の折れた木の幹が斜めに伸び、わずかな葉を茂らせる。右手前には大きな平たい岩がある。右上の空では、灰色の雲を割って、金色の光の帯が斜めに立ちのぼる。所蔵館によれば、この光が天使たちの上り下りする階段で、天使の姿はほとんど透きとおるようにしか見えない。地平線の近くには青い空がのぞき、右端には細い木が一本立つ。

技法・様式

所蔵館は、野に休む羊飼いの姿を借りてよく知られた聖書の物語を語る、リベーラの比喩の巧みさを示す作品とする。手前にしっかりと形づくられた人物と現実味のある情景が、奇跡の夢に真実らしさを与えている。所蔵館のやさしい解説は、光の階段と木の幹が「X」の形の2本の対角線をなし、その交わるところにヤコブを置いた構図を指摘する。プラド美術館の百科事典(ニコラ・スピノーザ執筆)は、天使たちを「速く、本質だけをとらえた筆づかい」による繊細な形とし、ヴェネツィア派にならう画家たちのような明るく豊かな絵具の使い方をあげる。聖書の物語の象徴的な意味より、人間的で日常的な面が際立つとも述べている。

来歴

右下の岩には「Jusepe de ribiera español . F . / 1639」(スペイン人ホセ・デ・リベーラ作、1639年)の署名と年記がある。所蔵館によれば、おそらく1658年にヘロニモ・デ・ラ・トーレのコレクションの目録に載った絵の一つで、1718年までその一族のもとにあった。1746年には王妃イサベル・デ・ファルネシオの絵画のなかに、ムリーリョの作として現れる。右下の百合の印は王妃のコレクションの印である。館が2026年2月に配信した解説によれば、ムリーリョを好んだ王妃は、同じくムリーリョの作とされていた《天使に解放される聖ペテロ》と対にして本作を手に入れた。百科事典によれば、1794年にはアランフエス宮殿の目録に載り、1818年にリベーラの作と正しく認められてサン・フェルナンド王立美術アカデミーに移り、1827年にプラド美術館に入った。所蔵番号P001117。第9室に展示されている。

意義

スピノーザは、広い空と風景の描き方が、同じ1639年にリベーラがサラマンカのモンテレイ伯のために、プッサンとクロード・ロランの中間のような様式で描いた2点の《風景》を思わせるとする。対をなす《天使に解放される聖ペテロ》も1639年の署名と年記をもち、寸法もほぼ同じである。殉教の場面の激しいテネブリズムで知られるリベーラが、静かな光と色彩で描いたこの絵は、18世紀にはムリーリョの作と思われていた。その解説は本作を「型破りなリベーラ」と呼んでおり、画家の幅の広さを示す一点である。