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《ネメアのライオンと闘うヘラクレス》

Hércules lucha con el león de Nemea
《ネメアのライオンと闘うヘラクレス》フランシスコ・デ・スルバラン
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フランシスコ・デ・スルバラン
制作年
1634年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
151 × 166 cm

荒れた岩場で、後ろ足で立ち上がったライオンに、裸の男が背後から組みつき、両腕でその首を締め上げる。男の顔は自分の右腕に隠れ、ライオンは天を仰いで口を開く。足もとには棍棒と矢が転がる。

概要

《ネメアのライオンと闘うヘラクレス》(西: Hércules lucha con el león de Nemea)は、スペインの画家フランシスコ・デ・スルバランが1634年に描いた油彩画である。縦151センチ、横166センチのキャンバスで、プラド美術館が所蔵する。国王フェリペ4世のブエン・レティーロ宮の大広間「諸王国の間」のために描かれた、ヘラクレスの功業の連作の一点で、ギリシア神話に取材した神話画である。

画面の読み解き

館の解説によれば、ネメアの地を荒らすライオンが住民をおびえさせ、人々はもはや畑を耕せなくなっていた。ヘラクレスは、まず地面に転がる棍棒で打ちかかったのち、両腕で締めつけて絞め殺し、その毛皮を身にまとうようになった。毛皮はやがて英雄の目印となる。画面では、立ち上がったライオンの頭が、絡みあう二つの体がつくるピラミッド形の構図の頂に置かれ、ヘラクレスの顔は自らの右の前腕に半ば隠れている。ヘラクレスはこちらに背を見せて片足を大きく後ろへ踏ん張り、その肩の向こうにはライオンの前足がのぞく。夕方の光が英雄の体を照らして、力強い筋肉と力のこもった動きを浮かび上がらせる。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。館によれば、スルバランは背景に、ライオンが隠れ家とした荒々しい石だらけの土地と同じ姿を与えた。画面の右には大きな岩と折れた木の幹が並び、ライオンの長い尾が弧を描いて、その前に浮かぶ。左下の隅には「535」の数字が書き込まれており、館の来歴にある1794年のブエン・レティーロ宮の目録の番号と一致する。

来歴

館によれば、スルバランは主題を、ビリェーナ侯爵の『ヘラクレスの十二の功業』、フアン・ペレス・デ・モヤの『秘密の哲学』(1585年)、バルタサル・デ・ビクトリアの『異教の神々の劇場』から得た。館の百科事典によれば、1634年、セビーリャで成功を重ねた画家は宮廷に招かれ、ブエン・レティーロ宮の大広間の装飾に加わって、窓の上に掛ける10点の「ヘラクレスの功業」を描いた。本作は王室コレクションとして同宮にあり、1701年の目録に264番、1794年の目録に535番として載る。所蔵番号はP001243で、いまは第9A室に展示されている。

意義

館によれば、ライオンに対するヘラクレスの勝利は、悪と不和に対する徳の勝利を表し、英雄の勇気、ひいては国王と君主制の勇気をたたえる。館は《ヒュドラと闘うヘラクレス》や《アンタイオスと闘うヘラクレス》、《ヘラクレスの死》など連作のほかの作品も所蔵し、多くを本作と同じ第9A室に並べている。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、セビーリャの画家が宮廷の仕事を得たのには、友人ベラスケスの口添えがあったのかもしれないとする。