《聖母の死》
青い外套に包まれた青白い聖母が寝台に横たわり、そのまわりを使徒たちが囲む。蝋燭を渡す者、祈る者、うなだれる者、床に座り込む者がいる。上方には光の輪の中にキリストが現れ、天使たちが宙に舞う。
概要
《聖母の死》は、ネーデルラントの画家フーゴー・ファン・デル・グースが描いた油彩の板絵で、ブルッヘのグルーニング美術館が所蔵する。館の記録では、制作は1475年より後から1482年まで、オーク材の板に描かれ、縦147.8センチ、横122.5センチ(額を含めると縦168.5センチ、横131.5センチ)。所蔵番号は0000.GRO0204.I。フランドル地方の「名品」に指定されている。フランドル美術コレクションの旧サイトは、制作を1470年から1472年としていた。
画面の読み解き
フランドル美術コレクションによれば、寝台には死人のように青ざめた聖母が青い外套に包まれて横たわり、手を膝の上で組んでいる。寝台のまわりには使徒たちが輪になって集まり、深い霊的な苦しみ、疑い、人間的な不安をあらわにしている。上方では、聖母の魂を天へ迎えるために宙を舞う天使たちの間に、光の輪の中のキリストが現れる。何人かの使徒は見分けることができる。司祭の役を務めるペテロは、臨終の蝋燭をトマスから受け取って聖母の組んだ手に置こうとしている。ヨハネは寝台の右側に座って寝台にかがみ込み、その隣には、『黄金伝説』によればキリストに似ていたという小ヤコブがいる。ファン・デル・グースは、聖母の臨終に使徒たち全員が奇跡によって集められたという外典の福音書と『黄金伝説』の物語から、この場面の着想を得た。
技法・様式
館によれば、本作は2018年から2022年にかけて大規模に修復・調査された。修復では黄ばんだワニスの層と変色した塗り直しが取り除かれ、そこから興味深い発見があった。左上と右下に幕の名残が現れ、一部が復元されたのである。もとは場面全体が天蓋の幕に囲まれていたのかもしれないが、確かなことは分からない。幕は、聖母の臨終の寝台が見る者の前に明かされたかのような錯覚を生み、見る者もまた木の床に踏み込んで寝台のそばに座るよう誘われる。
来歴
館の作品頁と旧サイトは、注文主やもとの置き場所を記していない。館によれば、作品はかつて、おそらく新しい額に合わせるために切り詰められ、左と上の端が数センチ失われた。2018年から2022年の修復では、黄ばんだワニスと変色した塗り直しが取り除かれた。
意義
館によれば、幕がつくり出す臨場感は、14世紀以降ますます重んじられた、キリストと聖母への共感と憐れみを中心とする個人的な信仰の体験と結びついている。同じ画家の作品には、ウフィツィ美術館の《ポルティナーリ祭壇画》や、ベルリン絵画館の《モンフォルテ祭壇画》がある。