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《受胎告知》

Annunciazione
《受胎告知》レオナルド・ダ・ヴィンチ
Wikimedia Commons / ウフィツィ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
レオナルド・ダ・ヴィンチ
制作年
1472年
素材
板 / 油絵具
寸法
98 × 217 cm
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花の咲く庭で、翼のある天使が片膝をつき、白百合を手に祝福の手ぶりをする。右では、石造りの邸宅の角に座るマリアが、書見台の本に手を置いたまま片手を上げて迎える。奥には木立と、霞む山と港が広がる。

概要

《受胎告知》(伊: Annunciazione)は、レオナルド・ダ・ヴィンチが1472年頃に描いた板絵の油彩画である。縦98センチ、横217センチ。フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する。天使ガブリエルが聖母マリアに、神の子を身ごもることを告げる受胎告知の場面を、ルネサンスの邸宅の前に広がる庭に置いて描いた。所蔵館によれば、画家がまだアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房にいたころの若い作品と一般に考えられている。初期ルネサンスのフィレンツェで生まれた、レオナルドの最初期の大作である。

画面の読み解き

左では、翼を広げた天使が花の咲く草地に片膝をつき、左手に白百合を持って、右手を上げて祝福の手ぶりをする。赤い衣の上に、明るい色の袖と緑の帯が重なる。右では、石の角を積んだ邸宅の前にマリアが座り、書見台に開いた本に右手を置いたまま、左手を上げて天使を迎える。膝から下は青い衣に包まれる。書見台の台座は、貝殻や唐草で飾られた大理石の石棺の形をしている。二人の背後には低い石の塀が続き、その向こうには糸杉などの黒い木立が並び、さらに奥には港や船、霞む岩山の風景が広がる。

技法・様式

所蔵館によれば、邸宅の前の囲まれた庭は、マリアの純潔をほのめかす「閉ざされた庭(ホルトゥス・コンクルスス)」を思わせる。レオナルドは伝統的な宗教の主題を、地上の自然の中に置いた。草の上に落ちる影や、実物を写したらしい衣のひだが、天使の体に確かな重みを与え、翼も力強い猛禽の翼をもとにしている。夕暮れのような光が形をつくり出して場面をまとめ、遠くの暗い木立の形を際立たせる。建物は中央に消失点を置く遠近法の規則に従って描かれた。一方、マリアの右腕が長すぎるなど、人物にはいくつかの不自然さがある。所蔵館は、これを教会の脇祭壇の上に掛けられることを考え、右下からの視点を計算したレオナルドの初期の光学研究の表れかもしれないとする。書見台の形は、フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂にあるピエロ・デ・メディチ(痛風病みのピエロ)の墓をもとにした、ヴェロッキオの考案を写したものである。

来歴

所蔵館によれば、作品は1867年、フィレンツェのサン・フレディアーノ門の外にあるサン・バルトロメオ・ア・モンテオリヴェート聖堂からウフィツィ美術館に移された。もとの設置場所や注文主はわかっていない。イタリア文化省の目録によれば、ウフィツィに入るまではドメニコ・ギルランダイオの作とされており、現在はヴェロッキオの工房とレオナルドの協同制作とみるのが一般的だという。同目録は、マリアと天使の頭部に描き直しの跡(ペンティメント)があることも記している。所蔵番号は1890年目録の1618番。

意義

2007年3月から6月にかけて、東京国立博物館の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」で公開された。国立新美術館の展覧会情報によれば、ウフィツィ美術館の外で初めての公開で、展覧会はレオナルドが中心となって制作し、ほぼ完成させた十数点の絵画の「最初の記念碑的作品」と紹介した。レオナルドが生涯をかけて深めていく自然への関心と光の研究が、すでにこの若い作品に表れている。