《桟敷席の真珠の首飾りをした女性》
- 作者
- メアリー・カサット
- 制作年
- 1879年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 81.5 × 59.5 cm
- 所蔵
- フィラデルフィア美術館 (1978-1-5)
- 時代
- 写実・印象派
- 流派
- 印象派
劇場の桟敷席の赤い椅子に、肩をあらわにした淡い桃色のドレスの女性が座り、真珠の首飾りをつけて、横のほうに目を向けている。手袋をはめた手には扇を持つ。背後の大きな鏡には、シャンデリアの光と、金色に飾られた桟敷の観客が映っている。
概要
《桟敷席の真珠の首飾りをした女性》(英: Woman with a Pearl Necklace in a Loge)は、アメリカの画家メアリー・カサットが1879年に描いた油彩画である。縦81.5センチ、横59.5センチのキャンバスで、フィラデルフィア美術館が所蔵する。館は現在「桟敷席の女性(Woman in a Loge)」の題で掲げている。所蔵館によれば、1879年にパリで開かれた第4回印象派展に出品され、とりわけ高い評価を受けた。
画面の読み解き
所蔵館によれば、カサットは1870年代後半に劇場の情景の連作を手がけ、多くの印象派の画家と同じく、都会の夜の暮らしに関心を示した。本作に描かれているのは鏡の前に座る女性で、背後の鏡にはパリのオペラ座の桟敷が映っている。モデルはしばしば画家の姉リディアとされる。日本語版ウィキペディアによれば、そのため「桟敷席のリディア」とも呼ばれ、同じ第4回展に出品されたパステル画にもリディアが描かれている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、本作には友人エドガー・ドガの影響が表れており、とくに人工の照明が肌の色に及ぼす効果に払われた注意にそれが見て取れる。手前の女性の肌やドレスは明るく照らされ、鏡に映る桟敷や観客は、すばやい筆の動きで簡潔に描かれている。
来歴
所蔵館によれば、印象派の収集家で画家のアンリ・ルアールの弟アレクシス・ルアール(1839〜1911)が、1879年ごろに画家から買ったとみられる。その後ルアール家に伝わり、少なくとも1943年まで同家にあった。1953年までにパリのマルセル・ミディの手に渡り、1966年にニューヨークの画商ウィルデンスタインを経て、ペンシルヴェニア州のウィリアム・コックス・ライトとシャーロット・ドーランス・ライト夫妻が購入した。1978年、シャーロットの遺贈で同館に入った。所蔵番号は1978-1-5。
意義
日本語版ウィキペディアによれば、カサットはドガに招かれて、この作品を第4回印象派展のために描いた。仲間の画家たちからは評価されたが、フランスの新聞の評には否定的なものもあった。カサットはその後も、1880年、1881年、1886年の印象派展に出品している。本作は、劇場という都会の夜の社交の場に女性を描いた、1870年代後半の劇場の連作の一点である。