《スケーターのいる冬景色》
- 作者
- ヘンドリック・アーフェルカンプ
- 制作年
- 1608年
- 素材
- 板 / 油絵具
- 寸法
- 77.3 × 131.9 cm
- 所蔵
- アムステルダム国立美術館
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- オランダ黄金時代の絵画
凍った川が遠くまで続く村で、数えきれない人々がスケートを楽しみ、棒で球を打ち、そりを走らせる。左には教会とれんがの家並みがあり、左右の裸の木々が舞台の袖のように画面を縁取る。
概要
《スケーターのいる冬景色》(蘭: Winterlandschap met ijsvermaak)は、ヘンドリック・アーフェルカンプが1608年頃に描いた油彩画である。縦77.3センチ、横131.9センチの板絵で、アムステルダム国立美術館が所蔵する。所蔵館によれば、高い視点を取ることで、厳しい冬に人と動物が繰り広げるさまざまな営みを見本帳のように並べてみせた作品である。アーフェルカンプは冬とその楽しみを描いた最初のオランダの画家で、本作は、オランダ黄金時代の絵画で冬景色という分野が生まれた出発点の一つにあたる。
画面の読み解き
凍った川が画面の奥まで延び、その上を数百の人々が行き交う。スケートで滑る者、転んだ者、手を取り合って進む男女、棒で球を打つ者、馬に引かせた赤いそりに乗る者がいる。所蔵館によれば、人々はスケートのほか、ゴルフの前身とされる「コルフ」、そり遊び、魚釣りに興じており、細かく描き分けられた衣装から、あらゆる階層の人がいることがわかる。左には青い屋根の教会と、れんが造りの大きな建物が並ぶ。アントウェルペンの紋章の2頭の獅子を掲げたこの建物は、ビールの醸造所か「半月亭」という宿屋と考えられている。左手前では、凍え死んだ馬の骸にカラスと犬がむらがり、その近くには、雪に足跡の残る鳥の罠が仕掛けられている。
技法・様式
所蔵館によれば、手前の左右に立つ高い木々は、舞台の書き割りのように見る者の目を画面の奥へ導く。高い地平線、込み入った村の建物、額縁のように画面を囲む裸の木々は、アムステルダムに移り住んだハンス・ボルやダーフィット・フィンクボーンスら、フランドル出身の画家たちの作品を思わせる。色は遠くへ行くほど白に近づいて空に溶けこみ、空気遠近法の効果を生む。鳥の罠の細部は、ピーテル・ブリューゲル(父)の《鳥の罠のある冬の風景》から取られている。右の木造の小屋の壁には、HとAを組み合わせた頭文字と「Henricus / Av」の署名がある。
来歴
所蔵館によれば、1748年のロッテルダムの競売に出た作品とみられる。1897年、アムステルダムで収集家ハイスベルト・デ・クレルクの旧蔵品として競売にかけられ、画商C・S・ルースが345ギルダーで落札した。同じ年、所蔵館がレンブラント協会の支援を受けて550ギルダーで買い取った。所蔵番号SK-A-1718。館の第2.6室に展示されている。
意義
所蔵館によれば、画面には、左の便所からのぞく裸の尻や、干し草の山の上の恋人たちのような、滑稽な細部も描き込まれている。1608年と1609年の年記のある初期のアーフェルカンプの作品は、フランドルの風景画家の影響と、ブリューゲルの伝統に連なる物語の細部への強い関心を示す。のちに地平線が低くなり、遠近のより自然な画面へ移っていくが、本作は、人々の暮らしを隅々まで語ろうとする初期の特徴をよく伝える。