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《デラウェア川を渡るワシントン》

Washington Crossing the Delaware
《デラウェア川を渡るワシントン》エマヌエル・ロイツェ
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / CC0 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
エマヌエル・ロイツェ
制作年
1851年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
378.5 × 647.7 cm
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1851年、ドイツのデュッセルドルフで描かれた縦3.8メートル、横6.5メートルの歴史画。1776年のクリスマスの夜、氷の流れるデラウェア川を渡るワシントンと兵士たちを描き、アメリカ建国の場面の図像を決定づけた。

概要

《デラウェア川を渡るワシントン》(英: Washington Crossing the Delaware)は、ドイツ生まれの画家エマヌエル・ロイツェが1851年に描いた油彩画である。1776年12月25日の夜、ジョージ・ワシントンが大陸軍を率いてデラウェア川を渡り、翌朝トレントンでヘッセン傭兵を奇襲した出来事を主題とする。縦378.5センチ、横647.7センチの大画面で、メトロポリタン美術館が所蔵する。

来歴

ロイツェは1848年のヨーロッパ各地の革命に際し、アメリカ独立の例で改革者たちを励ますことを考えてこの主題を選んだ。デュッセルドルフの工房で、滞在中のアメリカ人旅行者や美術学生をモデルに1850年に第1作を完成させたが、直後に工房の火災で損傷する。修復されてブレーメンの美術館に入ったこの第1作は、1942年の空襲で失われた。画家は同じ大きさの第2作を1850年から描き、1851年10月にニューヨークで公開すると5万人以上が詰めかけた。マーシャル・O・ロバーツが1万ドルで購入し、所有者が何度か替わったのち、1897年にジョン・スチュワート・ケネディがメトロポリタン美術館へ寄贈した。所蔵番号は97.34。より小さな第3作は1979年から2014年までホワイトハウスに掛かり、2022年の競売で4,500万ドルで落札された。

画面の読み解き

氷の浮かぶ川を、兵士を満載した小舟が右上へ進む。ワシントンは舳先近くに立ち、明るく開けた夜明けの空を背に顔を光で受ける。その隣で旗を掲げるのは、のちに大統領となるジェームズ・モンロー中尉とされ、舟べりから身を乗り出すのはナサニエル・グリーン将軍、船中で帽子を手に座るのはエドワード・ハンド将軍とされる。乗り合わせた男たちはスコットランドの帽子をかぶった者、アフリカ系の者、西部の猟兵、つばの広い帽子の農民など、当時の植民地の人々を広く代表するように描き分けられている。背後には、続く舟と騎馬の列が霧の中に伸びる。

技法・様式

キャンバスに油彩。全体は夜明け前の暗い色調でまとめられ、赤がところどころに置かれて画面をつなぐ。強い短縮法と遠ざかる舟の列が奥行きを生み、ワシントンの舟を際立たせる。デュッセルドルフで描かれたため、背景の川の観察にはライン川が用いられた。入念な下絵と均質な仕上げ、身ぶりで筋を語る構成は、デュッセルドルフ派の歴史画の作法そのものである。画家自身が意匠した鷲を冠した額は失われていたが、1864年にマシュー・ブレイディが撮影した写真をもとに、複製が制作された。

意義

画面には史実と異なる点が多い。掲げられた星条旗は1777年に定められた意匠で、渡河の時点では存在しない。舟は実際にはもっと大きく、大砲や馬も運ばれた。荒れた川で立ったままの姿勢を保つことも難しい。それでもこの絵は、版画や教科書、切手や硬貨を通じてアメリカ建国の場面そのものとして広まった。1953年にはラリー・リヴァーズが同じ主題を描き直し、グラント・ウッドは《革命の娘たち》で本作を画中に引用している。