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《波の中の女》

Femme à la vague
《波の中の女》ギュスターヴ・クールベ
Wikimedia Commons / メトロポリタン美術館 / CC0 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ギュスターヴ・クールベ
制作年
1868年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
65.4 × 54 cm
所蔵
メトロポリタン美術館 (29.100.62)
流派
写実主義

灰色の空と荒れた海を背に、女性が波間から上半身を現し、両腕を頭の上で組んで顔を横に向ける。白い波頭が胸の下で砕け、水平線には小さな帆影が見える。

概要

《波の中の女》(英: The Woman in the Waves)は、フランスの画家ギュスターヴ・クールベが1868年に描いた油彩画で、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する。縦65.4センチ、横54センチのキャンバスで、左下に「68 / G. Courbet」の年記と署名がある。所蔵館によれば、クールベは1864年から1868年にかけて、女性の裸体を描く一連の作品に取り組んでおり、本作はその一点である。

画面の読み解き

灰色の雲が垂れこめる空の下、荒れた海の波間から、女性が上半身を現している。両腕を頭の上で組み、乱れた赤みを帯びた髪の顔を横に向けて、目を伏せる。胸の下では白い波頭が砕け、右奥の水平線には小さな帆影が見える。所蔵館によれば、海から現れる女性の姿はヴィーナスの神話を思わせるが、クールベはモデルの脇の毛まで描き込み、美術の約束事を写実によって崩している。

技法・様式

所蔵館によれば、クールベは1863年のサロンで、アレクサンドル・カバネルの《ヴィーナスの誕生》が大きな成功を収めたのを目にしていたはずである。本作は、そのヴィーナスと同じく海と女性を主題にしている。画面では、明るい肌が、暗い空と緑がかった波、厚く塗られた白い波頭と対比されている。同館は、同じ連作の《オウムと女》も所蔵している。

来歴

館の刊行物『華麗なる遺産——ハヴマイヤー・コレクション』(1993年)の目録によれば、1882年までにパリのジャン=バティスト・フォールの所有となり、1893年1月9日に画商デュラン=リュエルが1万3,000フランで買い取った。同月にデュラン=リュエルのニューヨーク店に移り、1月30日にH・O・ハヴマイヤー夫妻が5,000ドルで購入した。1907年から夫人が所有し、1929年に夫人の遺贈によってメトロポリタン美術館に入った。

意義

所蔵館の解説は本作を、ヴィーナスの神話を思わせる構図に、モデルの体の細部を写実的に描き込むことで、裸婦画の約束事を崩した作品として紹介している。デュラン=リュエルの台帳での題は「波の女(Femme à la vague)」で、本作は同館のハヴマイヤー・コレクションに属する。