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《ヴァッツマン》

《ヴァッツマン》カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
Wikimedia Commons / ベルリン旧国立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ
制作年
1824–1825年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
135 × 170 cm
所蔵
ベルリン旧国立美術館 (デカ(フランクフルト・アム・マイン)からの貸与(2004年から))
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手前には苔むした岩場が広がり、中ほどに積み重なった奇岩とわずかな木々が立つ。その奥では霞のかかる緑紫の山並みの向こうに、雪と氷に覆われた白い峰が、淡い青空を背に明るく輝いている。

概要

《ヴァッツマン》は、ドイツの画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが1824年から1825年にかけて描いた油彩の風景画で、ベルリン旧国立美術館で展示されている。ドイツ南部、ベルヒテスガーデン・アルプスの山ヴァッツマンを描いた作品で、館の記録では、キャンバスに油彩、縦135センチ、横170センチ。所蔵番号はF.V. 317で、2004年からフランクフルト・アム・マインのデカが館に貸与している。

画面の読み解き

館の解説は、1825年のドレスデン美術アカデミー展で本作を見た『文学談話新聞』の評を引いている。「手前の積み重なった玄武岩の塊の間には、まだ草や小さな木が顔を出し、その上では霧が荒涼とした山の背を巡り、頂では万年雪に覆われた岩の額が、曇りのない明るさの中で輝いている」。評者は、まったくの孤独には何か戦慄させるものがあり、せめて鷲かカモシカの一頭でも見たいと願うが、ここには空気と光のほかに命は無いと書いた。館によれば、雪の峰の手前に霞をまとって連なるのは、アルヒェンコプフとグリュンシュタインの山並みで、フリードリヒはそこに緑から紫へと移ろう色合いを繊細に描き分けている。

技法・様式

館によれば、フリードリヒはアルプスを一度も訪れたことがなかったが、この山なみを何度か描いている。本作の構図には複数の手本を使った。中心となったのは、弟子のヨハン・アウグスト・ハインリヒが現地で描いた山頂付近の水彩の習作(オスロ国立美術館)で、さらにハルツ地方を旅したときの自らの素描も用いた。前景の中央の岩は、1811年6月28日にブロッケン山近くのホーネコプフで描いたトルーデンシュタインの素描に基づく。ピラミッド形の構図が永遠の氷の輝く白で頂点を結ぶという着想は、2年前の《氷の海》ですでに試みられていたという。

来歴

館の記録によれば、本作はグライフスヴァルトの元老院議員カール・フリードリヒ・ポッゲ、ロストックのフォン・プレセンティンの遺贈を経て、ベルリンのマルティン・ブルンの所有となり、1937年2月19日にナショナルギャラリーが購入した。第二次世界大戦後はヴィースバーデンの中央集積所に置かれ、1956年に西ベルリンのナショナルギャラリーに戻った。2003年にブルンの相続人に返還されたのち、デカ銀行が買い取り、2004年から館に貸与されている。

意義

館によれば、フリードリヒは1824年にもドレスデンで、モンブランを望む大きなアルプスの風景を発表していた(ナショナルギャラリーの旧蔵で、戦争で失われた)。本作は、同じ山を描いて1824年にドレスデンで展示された、23歳のルートヴィヒ・リヒターの作品(ミュンヘン、ノイエ・ピナコテーク)への応答として描かれたとみられ、フリードリヒはその細部に富む物語的な描き方を退けた。光の中に輝き、自然の大きさと計り知れなさを体現する氷の山は、遠く隔てられ、神の威厳の象徴のように現れる。1937年に本作をナショナルギャラリーに迎えたエーバーハルト・ハンフシュテングルは、自らと他人の自然の像を、名所絵の性格を失うほど想像力豊かに高め、山岳表現そのものの典型にまで至らせたフリードリヒの「造形と詩の力」を称えた。