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《女の三世代》

Die drei Lebensalter der Frau
《女の三世代》グスタフ・クリムト
Wikimedia Commons / ローマ国立近代美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
グスタフ・クリムト
制作年
1905年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
171 × 171 cm

眠る幼子を胸に抱いた若い女が、目を閉じて頬を寄せている。その左では、白髪の老女がうつむき、手で顔を覆う。三人の背後には金と黒の文様が広がる。

概要

《女の三世代》(独: Die drei Lebensalter der Frau)は、グスタフ・クリムトが1905年に描いた油彩画である。縦横ともに171センチの正方形の画面で、ローマ国立近代美術館が所蔵する。幼子と若い母、老女の三人に人の一生を重ねた寓意画で、壁画を除けばクリムトの最大級の油彩の一つである。アール・ヌーヴォーと象徴主義が交わる世紀末ウィーンの代表作とされる。

画面の読み解き

画面の中央に若い女が立ち、眠る幼子を胸に抱いて頬を寄せる。女は目を閉じ、赤みがかった長い髪に花を飾り、腰から下には青く透ける薄布がまとわりつく。幼子も目を閉じ、母の胸に顔を預けている。左には白髪の老女が横向きに立ち、うつむいて片手で顔を覆う。皮膚はたるみ、腹はふくらみ、腕には青い静脈が浮く。三人は、画面を縦に貫く金や青の円や渦を散らした文様の帯の中に置かれる。その両側は白い点を散らした灰褐色の地で、上部は黒く塗りこめられ、奥行きはほとんどない。

技法・様式

人物の肌は写実的に描き込まれる一方、衣や背景は平らな文様として扱われ、写実と装飾が一つの画面で並ぶ。1900年代のクリムトが金箔や金色の絵具を多く用いた、いわゆる「黄金様式」の時期の特徴である。若い母と幼子が寄り添って一つの形をなすのに対し、老女だけが離れて置かれ、その孤立が画面に緊張を与える。所蔵館は、老女を飾らない正確さで描いた点を、ほかの二人との対比として強調している。

来歴

1905年、ベルリンで開かれた第2回ドイツ芸術家連盟展に出品された。1910年のヴェネツィア・ビエンナーレで大きな成功を収め、翌1911年、イタリア統一50年を記念するローマ国際博覧会のオーストリア館に展示されて、クリムトは金賞を受けた。このとき作品はイタリア国家に買い上げられ、国立近代美術館に収められた。

意義

誕生から老いまでを一つの画面に並べる主題は古くからあるが、クリムトはそれを物語ではなく、身体と文様の対比として描いた。若い母の官能と老女の衰えは、同じ時期のウィーンで盛んに論じられた生と死の問題を映している。日本では、2019年に東京都美術館と豊田市美術館を巡回した「クリムト展 ウィーンと日本 1900」で初めて公開された。