《ふたつの炎のあるマグダラのマリア》
- 作者
- ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
- 制作年
- 1640年
- 素材
- キャンバス / 油絵具
- 寸法
- 133.4 × 102.2 cm
- 所蔵
- メトロポリタン美術館
- 時代
- バロック・ロココ
暗い部屋で、白い肌着に赤い布を膝に掛けた長い髪の女性が、横を向いて座る。組んだ両手は膝の上の髑髏に置かれ、目の前の金の額縁の鏡には、蝋燭の炎がもう一つ映る。床には真珠の首飾りが落ちている。
概要
《ふたつの炎のあるマグダラのマリア》は、フランス東部ロレーヌ公国の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが1640年頃に描いた油彩画で、メトロポリタン美術館が所蔵する。館の記録では縦133.4センチ、横102.2センチのキャンバスで、館の題は《悔悛するマグダラのマリア》。1978年にチャールズ・ライツマン夫妻が館に寄贈した。所蔵番号は1978.517で、館の622室に展示されている。
画面の読み解き
館の解説によれば、主題のマグダラのマリアは、肉の快楽を捨てて悔悛と瞑想の生活に入った女性である。画面には、虚栄の象徴である鏡、死すべき運命の標である髑髏、そしておそらく彼女の霊的な目覚めを示す蝋燭とともに描かれている。題の「ふたつの炎」は、蝋燭の炎と、鏡に映ったもう一つの炎を指す。
技法・様式
館によれば、蝋燭の光と影の極端な対比、切り詰めた幾何学的な形、瞑想的な雰囲気を備えた本作は、ラ・トゥールの絵の最も完成され、最もこの画家らしい姿を示す。こうした視覚の性質は、華やかで見せ場の多いバロック絵画の典型に対する力強い反流だった。ラ・トゥールはテネブリズムを用いたカラヴァッジョ風の絵画に多くを負いながら、さらに単純化した形へと向かった。
来歴
館の記録では、本作はライツマン夫妻の寄贈による。館の作品頁には、それ以前の来歴の記載は無い。
意義
館は、この絵の静かな雰囲気が、悔悛するマグダラのマリアという主題にまさにふさわしいと述べる。画家はこの主題を繰り返し描き、ルーヴル美術館には《灯火の前のマグダラのマリア》がある。同じ館にあるラ・トゥールの作品には《女占い師》がある。