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《灯火の前のマグダラのマリア》

La Madeleine à la veilleuse
《灯火の前のマグダラのマリア》ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
Jean-Pol Grandmont / ルーヴル美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
制作年
1642–1644年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
128 × 94 cm
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暗い部屋で、白い肌着から両肩をのぞかせた女が机のそばに座り、頬に手をあてて、ガラスの器に灯る小さな炎を見つめる。膝の上には頭蓋骨があり、机には本が積まれている。

概要

《灯火の前のマグダラのマリア》(仏: La Madeleine à la veilleuse)は、ロレーヌ地方の画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールが1642年から1644年頃に描いた油彩画である。縦128センチ、横94センチのキャンバスで、ルーヴル美術館が所蔵する。旧蔵者の名から「テルフのマグダラのマリア」とも呼ばれる。所蔵館によれば、画家が描いた悔悛するマグダラのマリアの、知られる5点のひとつである。

画面の読み解き

暗い部屋の中で、マグダラのマリアが机のそばに横向きに座る。白い肌着は肩からずり落ち、腰には赤い布を巻き、脚と足は素足のままである。机の上にはガラスの器に油の灯火がともり、その奥に本が積まれている。所蔵館によれば、聖女は頭を傾けて手で支える。これはデューラーの名高い版画によって広まった、憂鬱(メランコリー)と結びつく身ぶりである。聖女は自分の内なる世界に沈み、人の生の空しさと、罪深い女だったかつての日々に思いをめぐらす。顔は灯火の炎に向けられ、その炎は、わずかな息にも震えて消えそうな人の命を表す。膝にのせた頭蓋骨は避けられない死を思わせるメメント・モリで、暗がりで頭蓋骨を手にして瞑想せよという、イグナティウス・デ・ロヨラの『霊操』の教えを思い起こさせる。机には2冊の本のそばに十字架が置かれ、聖女が読んだばかりの聖書の一節を思いめぐらしていることを示している。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれ、机の上に「La Tour fec...」の署名がある。所蔵館によれば、構図は一般に1635〜1637年頃とされるロサンゼルス・カウンティ美術館の作にきわめて近い。ルーヴルの作はより簡素で、画家は衣の襞や量感を単純にし、細部を変え、明暗の対比を和らげて画面を暗くした。この厳しさと控えめな調子が聖女の静かな瞑想に注意を集めることから、制作は数年後とみられる。右の前腕にはペンティメント(描き直しの跡)があり、肌着の袖がロサンゼルスの作と同じようにもっと下まであった。これは2点の近い関係と、ルーヴルの作があとであることを裏づける。

来歴

所蔵館によれば、1914年頃には収集家カミーユ・テルフが持っていた。1941年、テルフの意に反して、ケルンのヴァルラフ=リヒャルツ美術館に譲られた。1944年に押収されてフランスの税関総局の所有となり、1949年、所蔵館が税関総局から購入した。所蔵番号はRF 1949 11。もとの画布が裂けたために裏打ちが施され、1963年には修復家アンリ・リナールが支持体を処置したが、絵具の層はいまも浮き上がりやすく、きわめて傷みやすい。

意義

所蔵館が引く研究者キュザンの1997年の評では、机の上の静物はラ・トゥールの最も完成度の高い、美しいもののひとつで、ロサンゼルスの作の静物を本の並べ方を変えて受け継ぎ、より柔らかく温かな光の中に静まる。ピエール・ローザンベールとジャック・テュイリエは、静物と縄で締めた粗い毛織の衣が、世俗を捨てる瞬間や失われた華やかな暮らしの記憶ではなく、隠者の生活の厳しさを語るとし、「ここで私たちは、まちがいなくフランチェスコ会の精神の最も近くにいる」と書いた。同じ主題の作は、ほかにワシントン・ナショナル・ギャラリー、ロサンゼルス・カウンティ美術館、メトロポリタン美術館と個人の収集にある。