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《乙女》

Die Jungfrau
《乙女》グスタフ・クリムト
Wikimedia Commons / プラハ国立美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
グスタフ・クリムト
制作年
1913年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
190 × 200 cm

暗い闇に浮かぶ渦のような群像の中心で、紫と青の文様の布に包まれた少女が、両腕を上げて眠っている。そのまわりで、肌をあらわにした女たちが身を寄せ合い、目を閉じて夢に沈む。

概要

《乙女》(独: Die Jungfrau、チェコ語: Panna)は、グスタフ・クリムトが1913年に描いた油彩画である。縦190センチ、横200センチのキャンバスで、チェコのプラハ国立美術館が所蔵する。眠る少女を夢見る女たちが取り巻く姿を描いた寓意画で、所蔵館によれば、画面の中心は一人の少女であり、その夢見る官能性が作品の感情の核をなす。クリムトの晩年の作で、アール・ヌーヴォーの装飾と象徴主義を結びつけた作風をよく示す。

画面の読み解き

暗い茶と黒の闇の中に、女たちの体が一つの渦のような塊をなして浮かんでいる。中心の少女は、紫や青の地に渦巻きと花の文様を散らした布に包まれ、両腕を頭の上に上げて眠る。そのまわりで、肌をあらわにした女たちが身を寄せ合い、あるいは身をよじって横たわり、みな目を閉じている。花の輪やリボン、赤や緑の布が群像を取り巻き、画面に金箔は使われていない。右下の隅には「GUSTAV KLIMT」の署名がある。

技法・様式

所蔵館によれば、本作はアール・ヌーヴォーの美学と象徴主義を融合させたクリムトの象徴的な作風の、よく知られた例である。題材の技巧的な複雑さに比べて、画家は様式を切り詰めて用いている。所蔵館の学芸員オルガ・コトコヴァーは、巧みな素描と、様式化された形、強く塗り重ねた色の組み合わせを特徴に挙げる。画家の関心が、それまでの「宿命の女」から、少女の夢のような官能へと移ったことを示す作品で、美と、そのはかなさ、若さを主題とし、美と死すべき運命の関係というウィーン分離派の中心的な主題を体現しているという。

来歴

所蔵館によれば、本作は1914年1月から2月、プラハのルドルフィヌムで開かれたドイツ系ボヘミア芸術家協会の展覧会に、クリムトの油彩と素描11点とともに出品された。クリムトの父はボヘミアのリトムニェジツェ近くの村の生まれで、画家はこの協会の展覧会にたびたび客として出品していた。当時のプラハ近代美術館のドイツ部門が、2万6千クローネの言い値を値引きさせ、それでも莫大な2万クローネで同じ1914年に買い入れた。購入の書簡は館の文書庫に残る。同館は1910年にも、同じ協会の展覧会からクリムトの風景画《水辺の城》(1908〜1909年)を買っている。所蔵番号O 4152。

意義

所蔵館は、クリムトが世界的な名声を得たのは個性的で象徴主義的な、きわめて装飾的な絵画によってであり、館の2点の油彩のうち本作がそれを体現する特別な作品だとする。もう1点の《水辺の城》が、画家の初期の抑えた色調を示すのと対照的である。コトコヴァーは本作の少女を、甘く豊かな夢にとらわれた無垢な乙女と表現している。