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《最後の審判の三連祭壇画》

Weltgerichts-Triptychon
《最後の審判の三連祭壇画》ヒエロニムス・ボス
Wikimedia Commons / ウィーン美術アカデミー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヒエロニムス・ボス
制作年
1490–1505年
素材
オーク材のパネル / 油テンペラ・グリザイユ
寸法
164 × 247 cm

左の翼には楽園と人間の堕罪、中央の板には天で裁くキリストと、燃える闇の中で悪魔にさいなまれる無数の人々、右の翼には地獄が広がる。翼を閉じると、灰色の濃淡だけで描いた二人の聖人が現れる。

概要

《最後の審判の三連祭壇画》(独: Weltgerichts-Triptychon)は、ネーデルラントの画家ヒエロニムス・ボスが1490年頃から1505年頃に描いた、中央の板と左右の翼からなる祭壇画である。オーク材の板に油テンペラで描かれ、中央の板は縦164センチ、横127センチ、両翼は各縦164センチ、横60センチ。ウィーン美術アカデミーの絵画館が所蔵する。所蔵館によれば、プラド美術館の《快楽の園》とともに、画家の作品で最も大きく人物の多いものの一つで、最初の人間の堕罪から最後の審判まで、人類を待ち受ける運命をキリスト教の見方から、細かな場面の連なりで描く。

画面の読み解き

所蔵館によれば、左の翼には楽園が描かれる。下から、アダムとイヴの創造、木のそばでの堕罪、天使による楽園からの追放が続き、上の暗い雲の中では、神に背いた天使たちがルシフェルとともに天から落とされる。中央の板の上方では、世界を裁くキリストが虹の上に座り、使徒たちが両脇に並び、ラッパを吹く天使たちが囲む。左上の隅には天の楽園への入口を示す小さな金色の光がのぞき、右上の隅は闇に沈む。その下の、ところどころ燃える夜の風景では、無数の悪魔が人々をさいなむ奇怪な場面が細かく描かれ、七つの大罪とその罰が繰り返し示される。手前には巨大な刃物や樽も転がる。右の翼の暗い背景の中では、罪人たちの地獄の責め苦が続く。翼を閉じると、外側には灰色の濃淡だけで描くグリザイユで、左に巡礼の聖人である大ヤコブ、右に聖バーフ、別の説では聖ヒッポリュトスが現れる。

技法・様式

所蔵館によれば、本作はキリスト教の礼拝で使われてきた、翼を開閉する祭壇の形をとる。平日はふつう翼を閉じ、日曜日と祝日のミサにだけ開いて、内側の翼と中央の板の画面の全体を見せた。外側の灰色の画面と、内側の色鮮やかで細密な画面との対比は、それだけいっそう強い印象を与える。外側の聖人は、神の意にかなう生き方の手本として、内側の画面と対をなすという。同アカデミーの研究計画の紹介は、ボスを、なお後期ゴシックの色の濃い初期フランドル派の絵画から近世への境目に立ち、いまではほとんど解き明かせない独自の画像の世界をつくり上げた画家とし、そこに人類とその生き方への深い不安を読み取る。

来歴

所蔵館によれば、本作がもとは教会や礼拝堂に置かれていたのかどうかはわかっていない。記録に初めて現れるのは1659年で、ブリュッセルでハプスブルク家の総督を務めたレオポルト・ヴィルヘルム大公の収集にあった。1787年頃にランベルク=シュプリンツェンシュタイン伯爵が皇帝の収集から手に入れ、1822年、伯爵の遺贈によってアカデミーに入った。現在は絵画館の収集全体とともにオーストリア共和国が所有する。注文主については、2018年に『バーリントン・マガジン』に載った論文が、ブルゴーニュの宮廷で財務の高官を務め、1503年に没したイポリット・ド・ベルトーズを挙げた。右の外翼の絵の下から紋章が見つかり、元素の分布を写す蛍光X線の画像で金と朱の痕跡が、その家の紋章と一致したという。論文は外翼の聖人をベルトーズの名の聖人ヒッポリュトスとみて、制作を1500〜1505年頃とする。所蔵館は、なお確定していないとしている。

意義

同アカデミーの絵画館によれば、本作はボスの作品で2番目に大きく、絵画館の中心をなす。真筆とされるボスの板絵25枚はほとんどが最新の科学的な方法で調べられてきたが、本作はその輪から漏れていた。そこで2017年夏、2016年に画家の故郷スヘルトーヘンボスで開かれた展覧会に向けて作品を調べた「ボス研究・修復プロジェクト」の5人が招かれ、11日間にわたって赤外線反射撮影などの調査を行った。アントウェルペン大学の研究者も祭壇画全体を蛍光X線で走査し、その成果は2019年11月にウィーンで開かれた国際会議で論じられた。