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《快楽の園》

El jardín de las Delicias
《快楽の園》ヒエロニムス・ボス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ヒエロニムス・ボス
制作年
1490–1500年
素材
オーク材のパネル / 油絵具・グリザイユ
寸法
185.8 × 325.5 cm

左の翼にはアダムとエバの楽園、中央には巨大な果実や鳥のあいだで戯れる無数の裸の男女、右の翼には闇に炎が上がる地獄が広がる。三枚の板を開くと、楽園から地獄までが一続きに見渡せる。

概要

《快楽の園》(西: El jardín de las Delicias)は、ヒエロニムス・ボスが1490年から1500年ごろに描いた三連の祭壇画である。オーク材の板に油彩とグリザイユ(灰色の単色画)で描かれ、高さは185.8センチ、中央の板の幅は172.5センチ、左右の翼はそれぞれ76.5センチ。マドリードのプラド美術館が所蔵する。所蔵館は、三つの場面が罪という主題で互いに結ばれていると解説する。初期フランドル派の細密な技法で、独自の幻想の世界を描いた作品として知られる。

画面の読み解き

左の翼は楽園で、神がエバをアダムに引き合わせている。背後にはピンク色の奇妙な噴水が立ち、象やキリン、一角獣など多くの動物が草地や池のほとりに遊ぶ。中央の板では、明るい緑の草地に無数の裸の男女が集い、巨大な苺や鳥、貝殻や透きとおった球の中で戯れる。中ほどでは、馬や鹿、猪などにまたがった男たちが輪になって池の周りを巡り、池では女たちが水を浴びている。奥の湖には、ピンクや青の奇妙な塔が立ち並ぶ。右の翼は地獄で、闇の中の町が炎を上げ、中央では卵の殻のような胴を持つ「樹木人間」が振り返る。その上には刃物を挟んだ一対の巨大な耳がある。下では竪琴やリュートが罰の道具となって人々を苦しめ、右では鳥の頭をした怪物が椅子に座り、人をのみ込んでいる。翼を閉じると、外側にはグリザイユで、天地創造の3日目、水が地から分かれた世界が描かれる。

技法・様式

所蔵館によれば、中央の板は数えきれない裸体によって色欲を強調した「偽りの楽園」であり、作品全体は、罪深い快楽がもたらす幸福のもろさとはかなさを伝える。明るく澄んだ色の楽園と中央の板に対し、地獄は闇と炎の色で塗り分けられ、左から右へ、創造から堕落、罰へと読み進める構成になっている。小さな人物の一人ひとり、果実や鳥の羽の一枚まで細密に描き分けられ、全体を見渡すと同時に、細部をいくらでも読み解ける画面である。

来歴

所蔵館によれば、ナッサウ家のエンゲルベルト2世(1490/1500〜1504年)、ヘンドリック3世(1504〜1538年)、ルネ・ド・シャロン、オラニエ公ウィレム1世と伝わった。1568年にブリュッセルでアルバ公に没収され、その子フェルナンド・デ・トレドを経て、1591年の競売でスペイン王フェリペ2世が手に入れる。1593年にエル・エスコリアル修道院へ送られ、1933年にプラド美術館へ移された。1943年からは同館への恒久的な寄託となっている。所蔵番号P002823。

意義

フェリペ2世がボスの作品を熱心に集めたため、スペインには他のどの国よりも多くのボスの真筆が残る。本作はその中心にある作品で、17世紀の修道士は「虚しい栄光と、苺のようにはかない味わいの板絵」と呼んだ。謎めいた図像には今も多くの解釈が試みられており、2016年には没後500年を記念して、所蔵館で大規模な展覧会が開かれた。