《無原罪の御宿り》
金色に輝く雲の空に、白い衣と青いマントの聖母が地球の上に立つ。両手を胸の前で合わせ、目を伏せる。頭上には鳩と十二の星、足もとには三日月と、林檎をくわえた蛇。周りに天使たちが集い、手前では幼い天使が白い百合を抱える。
概要
《無原罪の御宿り》は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロが1767年から1769年に描いた油彩の祭壇画である。縦281センチ、横155センチのキャンバスで、マドリードのプラド美術館が所蔵する。所蔵館によれば、スペイン国王カルロス3世が新たに建てたアランフエスのサン・パスクアル・バイロン王立教会のために、1767年に注文された7点の祭壇画の一つである。7点は、アルカンタラ派のフランシスコ会士の簡素で古典的な教会の絵画装飾のすべてをなし、聖体、幼子キリスト、聖母の純潔という同会の三つの信心を表していた。本作は主祭壇の左に掛けられた。
画面の読み解き
所蔵館によれば、画中の象徴は聖母の徳と重要さを示している。蛇を踏む足は、エバがもたらした弱さに打ち勝つことを、棕櫚は勝利と高揚を、鏡は罪のなさを表す。三日月と十二の星は「ヨハネの黙示録」12章の女を指し、三日月は貞潔のしるしでもある。月が太陽から光を受けるように、聖母の恵みはキリストの功績に由来する。背景にかすかに見えるオベリスクのような形は、強さと処女性、純潔を象徴するダビデの塔と象牙の塔を思わせる。日本語版ウィキペディアによれば、頭上の鳩は聖霊を、百合と薔薇は聖母の純潔と天の女王の位を表し、蛇は林檎をくわえている。
技法・様式
キャンバスに油彩で描かれる。所蔵館によれば、無原罪の御宿りは当時すでに見慣れた主題で、グイド・レーニとムリーリョの作が大きな影響を与えていた。準備の油彩下絵では、天使に支えられた細身の聖母の人間らしさが際立つが、完成作では聖母が画面のより大きな部分を占め、体をひねる姿勢が力強さを加えている。その威厳は、主祭壇の画で聖体を捧げ持つ天使に通じる。聖母は聖体のキリストを最初に宿した器とされたからである。
来歴
所蔵館によれば、1775年、ティエポロの祭壇画は隣接する修道院に移され、メングス、フランシスコ・バイエウ、マリアーノ・サルバドール・マエリャの作に取り替えられた。主題は同じ聖人と神秘のままとされたことから、問題はティエポロの解釈ではなく、ヴェネツィアで称賛された清新で自然な描き方が、メングスの洗練された様式ほど王の新しい教会にふさわしくないとみなされたことにあった。王室コレクションに由来し、現在は同館の第23室に展示されている。所蔵番号はP000363。
意義
ティエポロが晩年をスペイン宮廷で過ごした時期の代表作である。日本語版ウィキペディアによれば、ティエポロは1734年にもヴィチェンツァの教会のために同じ主題を描いており、本作ではアルカンタラ派の厳格な伝統に沿って、より荘重な聖母像を示した。ヴェネツィアの壮麗な絵画の伝統と、新古典主義へ向かうスペイン宮廷の好みとのずれを伝える作品でもある。