《人間の堕落のあるエデンの園》
- 作者
- ヤン・ブリューゲル(父) 、 ピーテル・パウル・ルーベンス
- 制作年
- 1615年
- 素材
- 板 / 油絵具
- 寸法
- 74.3 × 114.7 cm
- 所蔵
- マウリッツハイス美術館 (253)
- 時代
- バロック・ロココ
- 流派
- フランドル・バロック絵画
楽園の森で、イヴが片手で枝から林檎をもぎ、もう一方の手でアダムに差し出す。頭上の枝には蛇が巻きつく。足もとには孔雀や兎、右の水辺には虎や豹、獅子、駝鳥が集う。
概要
《人間の堕落のあるエデンの園》は、フランドルの画家ヤン・ブリューゲル(父)とピーテル・パウル・ルーベンスが1615年頃に共同で描いた油彩画で、ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する。オーク材の板に描かれ、縦74.3センチ、横114.7センチ。左下に「PETRI PAVLI RVBENS FIGR(ルーベンスが人物を描く)」、右下に「IBRUEGHEL FEC(ブリューゲル作)」の銘がある。館の日本語の頁では《エデンの園》と題されている。
画面の読み解き
所蔵館によれば、描かれているのは、蛇から受け取った林檎をイヴがアダムに渡し、アダムがそれを食べて人間の堕落が起こる直前の場面である。画面には多くの動物が、しばしばつがいで描かれ、ブリューゲルはそれらをアルブレヒト大公とイサベル大公妃の動物園で観察したとみられる。林檎をかじる猿は罪を、アダムの頭上の葡萄の房は聖体と磔刑、つまり堕落を贖うものを暗示している。
技法・様式
所蔵館によれば、構図を組んだのはブリューゲルで、ルーベンスがアダムとイヴ、木、馬、蛇を薄い絵具で素描のように描き、ブリューゲルが残りの植物と動物を仕上げの絵具で描き込んだ。銘から受ける印象よりも、ルーベンスの分担はずっと大きい。赤外線の調査では、ブリューゲルが鉛筆か銀筆で引いた下描きが見え、犬の位置や枝、孔雀の脚を描き直している。一方ルーベンスは下描きなしで板に直接描き、アダムとイヴの体には下地が透けて見える。
来歴
所蔵館によれば、本作は1710年以前からライデンのピーテル・ド・ラ・クール・ファン・デル・フォールトとその相続人の手にあり、1766年のライデンでの売り立てで、オラニエ公ウィレム5世が7,350ギルダーで買った。これはファン・ダイクやヨルダーンスの作品の10倍を超える額だった。1795年にフランス軍に接収されてパリのナポレオン美術館(ルーヴル)に移され、1815年に返還されたのち、1822年にマウリッツハイス美術館に入った。現在は展示されていない。
意義
所蔵館は本作を、二人の巨匠がそれぞれの技を見せるために描いた「見せ場の作品」と位置づける。ピーテル・ブリューゲル(父)の次男ヤンとルーベンスは親しい友人で、合作はおよそ20点にのぼる。