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《キリスト降架》

De Kruisafneming
《キリスト降架》ピーテル・パウル・ルーベンス
Wikimedia Commons / アントウェルペン大聖堂 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ピーテル・パウル・ルーベンス
制作年
1611–1614年
素材
パネル / 油絵具
寸法
421 × 617 cm
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夜の闇の中、梯子に登った男たちが、白い布に包まれたキリストのなきがらを十字架からそっと降ろす。赤い衣のヨハネが下で受け止め、青い衣の聖母が手を差し伸べ、ひざまずいたマグダラのマリアが足を肩に受ける。

概要

《キリスト降架》(蘭: De Kruisafneming)は、ピーテル・パウル・ルーベンスが1611年から1614年にかけて描いた三連の祭壇画である。板に油彩で描かれ、中央のパネルは縦421センチ、横311センチ、左右の翼はそれぞれ縦421センチ、横153センチある。アントウェルペンの火縄銃手組合がアントウェルペン大聖堂の組合の祭壇のために注文し、今も同じ大聖堂に掛かる。中央に十字架から降ろされるキリスト、左の翼に聖母のエリザベト訪問、右の翼に神殿での奉献を描く。所蔵先の大聖堂は本作を、バロックとフランドルの遺産全体を通じて最も名高い絵画の一つとし、ルーベンスの画風の模範とされる作品と紹介する。フランドル・バロック絵画を代表する作品である。

画面の読み解き

中央のパネルでは、夜の闇の中、十字架の横木に身を乗り出した2人の男が、白い布とともにキリストのなきがらを降ろしていく。右上の男は布の端を歯でくわえ、空いた手でキリストの腕を支える。両脇の梯子の上では、アリマタヤのヨセフとニコデモとされる年配の男たちが体を支え、下では赤い衣のヨハネが梯子に片足をかけて全身の重みを受け止める。青い衣の聖母は青ざめた顔で息子に両手を差し伸べ、ひざまずいたマグダラのマリアはキリストの足を肩に受け、その後ろでクロパの妻マリアが布の端をつまむ。右下の隅の皿には茨の冠と3本の釘が置かれ、罪状書きの札は石で押さえられている。左の翼では、キリストを身ごもった聖母が年老いた親類エリザベトを訪ね、右の翼では、老シメオンが幼子キリストを腕に抱く。

技法・様式

所蔵先の大聖堂の案内によれば、火縄銃手組合は中央のパネルに守護聖人クリストフォロスを描くよう望んだが、伝説上の人物だったため、教会はそれを認めなかった。フランドル観光局の案内は、トリエント公会議の後、祭壇画に描けるのが聖書の人物と歴史上の聖人に限られていたためとする。クリストフォロスとは、ギリシャ語で「キリストを運ぶ者」を意味する。ルーベンスは、胎内にキリストを宿す聖母、幼子を抱くシメオン、なきがらを降ろす弟子たちという、キリストを「運ぶ」三つの場面を開いた画面に並べ、聖人そのものは、幼子を背負って川を渡る姿で翼の外側に描いた。アントウェルペン教区の教会観光団体TOPAの解説によれば、激しい劇を得意とした画家が、ここでは抑えた感情を描いている。中央のキリストは古代彫刻《ラオコーン》に、外側のクリストフォロスは《ファルネーゼのヘラクレス》に着想を得ており、左の翼で見る者をまっすぐ見つめる侍女は、カラヴァッジョから学んだ手法だという。ロンドンのコートールド美術館には、画家が劇的な構図を固めるために描いた、中央のパネルの油彩の下絵(1611〜1613年)が残る。

来歴

TOPAによれば、火縄銃手組合は1585年以後に祭壇を再建したが、祭壇画を注文したのは十二年休戦が始まってからだった。注文の年の1611年、組合の長はルーベンスの「友人にしてパトロン」で市長のニコラース・ロコックスで、右の翼の左端に描かれた黒髪に黒い髭の男は、ロコックスの肖像である。中央のパネルは、十字架称賛の祝日の直前の1612年9月12日に据えられ、その2年後に両翼が加わって完成した。1794年、フランスの占領軍が戦利品としてパリへ運び、ルーヴルのグランド・ギャラリーに飾られた。祭壇はその間に失われている。ナポレオンの失脚後、1816年にもとの大聖堂に戻り、元の位置から少し離れた場所に据えられて、《キリスト昇架》と対をなすことになった。

意義

TOPAによれば、本作を称える言葉は数えきれず、1765年に見たレオポルト・モーツァルトは「筆舌に尽くしがたい」と記し、1836年にはフランスの作家テオフィル・ゴーティエがマグダラのマリアの姿に心を奪われた。ルーベンスの絵で本作ほど多く模写されたものはなく、19世紀に入ってもなお、キリスト降架の図の手本であり続けた。イギリスの作家ウィーダの小説『フランダースの犬』(1872年)では、貧しい少年ネロが、見るのに銀貨の要る《キリスト昇架》と《キリスト降架》を見たいと願い続け、クリスマスの前夜、月の光の中でようやく2枚の絵を目にする。