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《ホット・チョコレートを運ぶ娘》

Das Schokoladenmädchen
《ホット・チョコレートを運ぶ娘》ジャン=エティエンヌ・リオタール
Wikimedia Commons / アルテ・マイスター絵画館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ジャン=エティエンヌ・リオタール
制作年
1744年
素材
パステル / 羊皮紙
寸法
82.5 × 52.5 cm
流派
ロココ
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桃色の頭巾に白い前掛けをつけた若い娘が、横顔を見せて静かに歩む。両手で捧げ持つ漆の盆には、水の入ったコップと、ホット・チョコレートを満たした磁器のカップが載っている。

概要

《ホット・チョコレートを運ぶ娘》(独: Das Schokoladenmädchen、仏: La Belle Chocolatière)は、ジュネーヴの画家ジャン=エティエンヌ・リオタールが1744年頃に描いたパステル画である。縦82.5センチ、横52.5センチの羊皮紙に描かれ、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館が所蔵する。朝の飲み物を運ぶ若い召使いの女性を全身像で描いた作品で、同館を代表する名作の一つに数えられる。同時代で最も名高いパステル画家だったロザルバ・カリエラは、本作を「これまでに見た最も美しいパステル画」と評したという。

画面の読み解き

無地の明るい壁を背に、若い女性が右を向いて横顔を見せ、黒い漆塗りの盆を両手で捧げ持って歩む。頭には、レースで縁取り、青いリボンを結んだ桃色の頭巾をかぶり、白い肩掛けを胸元で合わせる。金茶色の絹の上着の袖口からは白い袖がのぞき、灰青色の絹のスカートの上に、裾まで届く白い前掛けをつける。盆の上には、水の入ったコップと、受け皿に据えた磁器のカップが載る。所蔵館によれば、漆の盆も磁器のカップも日本の器を手本とする。チョコレートは18世紀にはまだ上流の人々しか口にできない高価な贅沢品で、この一杯もおそらく貴族のためのものだという。

技法・様式

所蔵館によれば、羊皮紙にパステルで描かれている。パステルは、生き生きとして輝くような肖像を好むロココの趣味によく合い、リオタールは傷ひとつない、磁器のようになめらかな画面を作り出した。前掛けのしわや絹の光沢、ガラスのコップに映る光は、細かな観察に基づいて描き分けられている。同館は、その正確な観察が、啓蒙の時代の美術だけでなく、19世紀の写実主義をも先取りしていたと評する。2018年の展覧会では、本作の科学調査の結果をもとに、パステル画の技法が紹介された。

来歴

所蔵館によれば、画家は1743年から1745年にかけてウィーンのマリア・テレジアの宮廷に滞在し、本作はその間に描かれた。1745年、アルガロッティが画家から直接買い取り、ドレスデンのパステル画の展示室に収めた。これを機に、同館は同時代の画家の作品も見せるようになったという。所蔵番号 Gal.-Nr. P 161。スイス歴史事典は本作を「バルダウフ嬢の肖像、通称〈美しいショコラ売り〉」と記すが、所蔵館は、名の知れない一人の家政婦を描いた作品としている。

意義

所蔵館によれば、本作の大きな人気は、名もない素朴な家政婦という、それまでまれだった主題を描いたことにもよる。18世紀からパステルや油彩の模写が数多く作られ、のちには版画や写真の複製が無数に出回って、国際的に知られるようになった。19世紀には民衆芸術や広告の人気の図柄となり、スミソニアン博物館によれば、アメリカのウォルター・ベイカー社は本作に基づく図柄を「ラ・ベル・ショコラティエール」の名で商標にした。2018年から2019年にかけて、同館は本作を中心に、リオタールの作品100点あまりを集めた展覧会「これまでに見た最も美しいパステル画」を開いている。