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《白の上の白》

Suprematist Composition: White on White
《白の上の白》カジミール・マレーヴィチ
Wikimedia Commons / ニューヨーク近代美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
カジミール・マレーヴィチ
制作年
1918年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
79.4 × 79.4 cm
時代
20世紀
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暖かみのある白の地に、青みを帯びた白い正方形が、わずかに傾いて右上へ寄せて置かれている。定規で正確に引いたのではない輪郭と筆の跡が、二つの白をかろうじて分けている。

概要

《白の上の白》(英: Suprematist Composition: White on White)は、カジミール・マレーヴィチが1918年に描いた油彩画である。縦横とも79.4センチの正方形のキャンバスで、ニューヨーク近代美術館が所蔵する。所蔵館の題は「シュプレマティスムのコンポジション:白の上の白」。白い地の上に、わずかに傾いた白い正方形だけを描く。画家が始めたシュプレマティスムの、色と形を切り詰めた先の極点を示す作品として知られ、抽象絵画の歴史に欠かせない一点である。

画面の読み解き

所蔵館によれば、画面の中心からわずかにずれた白い正方形は、それより暖かみのある白の地とほとんど見分けがつかない。正方形はやや傾き、右上の角が画面の上端に届きそうな位置に置かれている。輪郭は定規で正確に引かれておらず、左右非対称の構図は、形を区切る境界ではなく、限りのない空間の感覚を生む。近づいて見ると、地と正方形の両方に筆の跡が残り、黄みを帯びた地の白と、青みを帯びた正方形の白の違いがわかる。

技法・様式

所蔵館によれば、マレーヴィチは、外の現実への参照をすべて捨て、絵画における「純粋な感覚あるいは知覚の優位」を説く美学をシュプレマティスムと名づけた。画家はこの解放を、美的なものであると同時に、ロシア革命後の社会と政治にかかわるものとも考えていた。傾いた正方形は重さを失って浮かび、果てしない空間に漂うような錯覚を生む。飛行に強く惹かれていた画家は、この構図で超越の感覚を呼び起こそうとした。画家の研究と顕彰を行うマレーヴィチ協会によれば、画家は1918年に「白の上の白」の絵を5点描き、本作は1915年の《黒の正方形》と対をなす作品だった。

来歴

マレーヴィチ協会によれば、画家は1918年6月15日の宣言で、自らが「無限の深淵に消えていく」と記した。所蔵館によれば、画家は1919年にモスクワで白の連作を展示し、「私は色のついた空の裏地を打ち破った」と始まり、「白い自由な深淵を泳げ、無限が目の前にある」と呼びかける宣言を添えた。1927年、画家はベルリンの大美術展で自作を展示し、呼び戻されて帰国する際に作品をドイツに残した。所蔵館によれば、本作は1930年からハノーファーの州立博物館に保管され、1935年、同館の館長アレクサンダー・ドルナーから、ニューヨーク近代美術館の館長アルフレッド・バーが入手した。この取得は、1999年に画家の遺族との合意で改めて確かめられている。所蔵番号817.1935。

意義

マレーヴィチ協会によれば、画家は白の連作ののち、絵を描くことをやめ、著述とシュプレマティスムの哲学に専念すると宣言した。テート美術館は、シュプレマティスムを近代美術の鍵となる運動の一つとし、1919年に画家と出会ったエル・リシツキーや、ハンガリー出身のモホイ=ナジ・ラースローが強い影響を受けたとする。一方、ソ連の体制はシュプレマティスムを認めず、画家の作品の展示も研究も妨げた。協会によれば、画家の生涯と作品の研究が自由に進むようになったのは、1991年のソ連の崩壊のあとである。