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《夏の日》

Jour d'été
《夏の日》ベルト・モリゾ
Wikimedia Commons / ロンドン・ナショナル・ギャラリー / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ベルト・モリゾ
制作年
1879年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
45.7 × 75.2 cm
所蔵
ロンドン・ナショナル・ギャラリー (ヒュー・レーン遺贈。2026〜2031年はダブリンのヒュー・レーン・ギャラリーへ長期貸出)
流派
印象派
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きらめく湖面に浮かぶ小舟に、二人の女性が乗っている。左の紺の上着の女性は麦わら帽子の横顔を見せ、中央の灰色の服の女性は青いリボンの帽子でこちらを見る。膝には青い日傘、右手の水面には鴨が泳ぐ。

概要

《夏の日》は、フランスの画家ベルト・モリゾが1879年頃に描いた油彩の風俗画で、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する。館の記録では縦45.7センチ、横75.2センチの裏打ちされていないキャンバスで、所蔵番号はNG3264。右下に「Berthe Morisot」の署名がある。ヒュー・レーンの遺贈品で、館はダブリンのヒュー・レーン美術館と共同で扱っており、2026年から2031年まではダブリンに長期で貸し出されている。

画面の読み解き

館によれば、本作はほぼ確実に《ブローニュの森の湖》の題で、1880年4月の第5回印象派展に、同じモリゾの《ブローニュの森で》とともに出品された。二つの絵には、同じ服を着た同じ二人の女性が描かれており、職業モデルだった可能性がある。パリ西部のブローニュの森は、1850年代にナポレオン3世と造園家アドルフ・アルファンが、整形式の庭園から曲がりくねった道や池や島のある「自然らしい」森へと造り変えたもので、ボート遊びもその楽しみの一つだった。モリゾは公園に集まる人出を描かず、二人の女性だけに焦点を当て、背景の木々と水はごく簡略に示して、遠くの岸に馬車と人影らしきものをのぞかせるにとどめている。

技法・様式

館によれば、自然の中での中流階級の余暇という主題は印象派の典型だが、モリゾはその穏やかな情景に大胆で力強い筆づかいを持ち込んだ。左下の服にはっきり見えるジグザグの筆触が画面全体に躍動を与え、光が屈折してきらめくように、さざ波立つ湖面をとらえている。ところどころでは、画面が生き生きとした筆触の抽象的な模様に溶け込みそうになる。女性たちを近くに置き、まるで同じ舟に乗っているかのように見せ、木立の水平線を画面の最上部まで押し上げて情景を大きく切り取ることで、親密さを強めている。人物にも水や木々にも同じ筆触の網目を用いて、二人を光に満ちた周囲と一体にしている。湖のほとりで描かれたとみられる水彩の習作(所在不明)があり、完成作はおそらく少なくとも一部をアトリエで、庭でモデルにポーズをとらせて描いたと考えられている。

来歴

館によれば、本作はパリのベルネーム=ジュヌの所蔵ののち、1910年にデュラン=リュエルの手に渡り、1912年に美術収集家ヒュー・レーンが買った。1917年にレーンの遺贈品となり、1951年にテート・ギャラリーから館へ移された。

意義

館によれば、モリゾは作品を仕上げないと批判され、ドガをはじめ多くの人が「ヴァプルーズ(もやのかかった)」という言葉で彼女の作品を評した。1880年の印象派展では、才能があるのになぜ仕上げる手間をかけないのか、と問う評者もいた。一方で、二つの出品作の「繊細さ」や「並外れて微妙な色調」を称える評者もおり、自らも伝統的な「仕上げ」の考えを退けた義兄エドゥアール・マネは、その技法の独自さを認めていた。2019年にはダラス美術館とオルセー美術館の回顧展「ベルト・モリゾ――女性印象派画家」、2023年にはダリッジ美術館の「ベルト・モリゾ――印象派をかたちづくる」にも出品されている。