クレジット方針 収録範囲について お問い合わせ
作品COLLECTION 画家ARTISTS 流派MOVEMENTS 時代PERIODS 所蔵MUSEUMS 様式史HISTORY 用語集GLOSSARY 検索SEARCH

《スポリアリウム》

Spoliarium
《スポリアリウム》フアン・ルナ
Wikimedia Commons / フィリピン国立博物館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
フアン・ルナ
制作年
1884年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
422 × 767.5 cm
所蔵
フィリピン国立博物館 (国立美術館(マニラ)、スポリアリウムの間)
広告

薄暗い石の部屋に、息絶えた剣闘士たちが綱で引きずり込まれてくる。赤い腰布の男たちが体を傾けて綱を引き、左手では老人や群衆が亡骸をのぞき込む。右手の暗がりでは、緑の衣の女性が床に崩れ落ちている。

概要

《スポリアリウム》(Spoliarium)は、フィリピンの画家フアン・ルナが1884年に描いた油彩の歴史画である。英語版ウィキペディアによれば縦4.22メートル、横7.675メートルで、フィリピンで最大の絵画とされる。マニラのフィリピン国立博物館が所蔵し、国立美術館の「スポリアリウムの間」に展示されている。所蔵館によれば、1884年のマドリードの全国美術展で金賞を受け、フィリピンの国家文化財に指定されている。題は、古代ローマの闘技場で死んだ剣闘士が運び込まれ、武具をはがされた地下の部屋の名である。

画面の読み解き

英語版ウィキペディアによれば、画面は、死んだ剣闘士たちが武器と衣をはがされる、闘技場の裏の場面を再現している。中央では、赤い腰布の男たちが体を前に傾けて綱を引き、床に横たわる剣闘士の亡骸を奥へ引きずっていく。左手では、白い衣の男が老人を押しのけ、群衆が亡骸のほうへ詰めかける。右手の暗がりでは、緑の衣の女性が床に崩れ落ちて嘆き、奥にも亡骸が積まれている。床には血の跡が筋を引く。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。2024年の『フィリピン・デイリー・インクワイアラー』の論説によれば、ルナはキアロスクーロを用い、亡骸と綱を引く男たち、二人の老人、女性に光を当て、奥の赤い光で奥行きを生んでいる。傾いた床と斜めに張られた綱が、画面に動きを与える。暗い背景の中に人物を浮かび上がらせる劇的な構成は、アカデミック美術の大画面の歴史画の伝統に連なる。

来歴

英語版ウィキペディアによれば、本作はマニラ市の奨学金の条件として1883年に描き始められ、1884年5月にマドリードの全国美術展に出品された。ローマ、マドリード、パリで展示されたのち、バルセロナ県が2万ペセタで買い上げた。1937年のスペイン内戦で保管先の美術館が焼かれて傷み、マドリードで長く修復された。所蔵館によれば、本作はスペインからフィリピンへの贈り物で、英語版ウィキペディアによれば1958年1月に駐スペイン大使に引き渡され、三つに分けてマニラへ運ばれた。

意義

英語版ウィキペディアによれば、1884年の金賞は、同じ展覧会で銀賞を得たフェリックス・レスレクシオン・イダルゴの受賞とともに祝われた。祝宴でホセ・リサールは、この絵に群衆のどよめきや奴隷の叫びが聞こえると称え、のちの小説『ノリ・メ・タンヘレ』の構想にも結びついたとされる。植民地の画家がヨーロッパの頂点の賞を得たことを示す、フィリピン美術の象徴的な作品である。