《書斎の聖ヒエロニムス》
- 作者
- アルブレヒト・デューラー
- 制作年
- 1521年
- 素材
- 板(オーク) / 油絵具
- 寸法
- 59.5 × 48.5 cm
- 所蔵
- リスボン国立古美術館 (inv. 828 Pint)
- 時代
- ルネサンス
- 流派
- ドイツのルネサンス期
灰青色の帽子をかぶり赤い衣をまとった、長い白鬚の老人が、片手で頭を支えてこちらを見つめる。もう一方の手の指は、机の上の頭蓋骨に置かれている。左には本を開いた書見台、右下にはペンを挿したインク壺があり、左上の壁には十字架が掛かる。
概要
《書斎の聖ヒエロニムス》(葡: São Jerónimo)は、ドイツの画家アルブレヒト・デューラーが1521年に描いた油彩の板絵である。縦59.5センチ、横48.5センチのオーク材の板で、ポルトガルのリスボン国立古美術館が所蔵する。所蔵館によれば、ドイツ・ルネサンスの傑出した画家が1520年から1521年のネーデルラント旅行中に描いた傑作で、キリスト教人文主義者の守護聖人の図像と表現に、新しい解決を示している。
画面の読み解き
所蔵館によれば、教会博士ヒエロニムスは、死と人間の境遇のはかなさに憂いをもって思いをめぐらす老賢者の、力強く凝縮された姿で描かれ、そのまなざしはこちらへ届いて、見る者をもこの知恵の修練に包み込む。日本語版ウィキペディアによれば、頭蓋骨に置かれた指はメメント・モリ(死を思え)を表す。衣服や老人の肌、手前の頭蓋骨、インク壺、書見台、左上の十字架は細かく描き込まれ、画家自身も日記に「丹念に描いた」と記している。
技法・様式
オーク材の板に油彩で描かれる。日本語版ウィキペディアによれば、デューラーはこの主題をすでに1511年の木版画や1514年の銅版画で手がけていた。室内を広く見渡して聖人を全身で描いた先行作に対し、本作では聖人を半身像として大きく近づけている。この姿は、ネーデルラントで親しく交わったクエンティン・マサイスの同じ主題の作品や肖像画から学んだと考えられる。モデルにはネーデルラントの老人を用いた。所蔵館によれば、ウィーンのアルベルティーナとベルリンのダーレム美術館に、この構図のための準備素描が4点残る。
来歴
所蔵館によれば、デューラーはこの絵を、アントウェルペンにあったポルトガル商館の書記ルイ・フェルナンデス・デ・アルマダに贈った。所蔵番号は828 Pint。
意義
日本語版ウィキペディアによれば、本作の写しはネーデルラントに25点から40点も残るといわれ、同地の人々がこの作品を高く評価したことを示す。画家がイタリアでイタリアの絵画に挑んだように、ネーデルラントではネーデルラントの絵画に挑んだ作品といえる。