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《サトコ》

Садко
《サトコ》イリヤ・レーピン
Wikimedia Commons / ロシア美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
イリヤ・レーピン
制作年
1876年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
322.5 × 230 cm
流派
移動派

薄暗い海の底を、冠や羽根飾りをつけた美女たちが行列をなして進む。右には毛皮の縁の長衣をまとった男が立ち、その行列を見つめる。手前では人魚が髪を整え、魚やくらげが漂い、左上の遠くに一人の娘が小さく見える。

概要

《サトコ》(露: Садко)は、ロシアの画家イリヤ・レーピンが1876年に描いた油彩画である。縦322.5センチ、横230センチの大画面に、ノヴゴロドに伝わる口承叙事詩(ブイリーナ)の主人公、商人サトコが海の底の王国にいる場面を描く。のちの皇帝アレクサンドル3世の注文で制作され、サンクトペテルブルクのロシア美術館が所蔵する。

画面の読み解き

館の解説によれば、画面には異国の美女たちが次々に現れ、レーピンの考えでは、それぞれがさまざまな国や民族を表している。サトコはその一人ひとりに心を奪われながらも、行列の奥に立つロシアの娘チェルナヴァを花嫁に選ぶ。館の露語版の解説は、主要な人物が画面の周縁に退き、視線の対角線だけで結ばれていると指摘する。光は上から差し、美女たちの行列が通り過ぎる舞台のような中央を照らし出す。手前には、髪を整える人魚や海の生き物が描き込まれている。

技法・様式

キャンバスに油彩で描かれる。館によれば、レーピンは思い描いた像にふさわしい表現を探るなかで、ヨーロッパのサロンの華やかな見せ物の印象に助けられた。いつも最大限の真実らしさを求めた画家は、海の世界の図鑑を調べ、ノルマンディーで海の生き物を写生し、ロンドンの水晶宮も見て回った。露語版の解説によれば、主人公のモデルは画家ヴィクトル・ヴァスネツォフで、その肖像の習作はトレチャコフ美術館にある。絵肌は「アカデミー風に」なめらかで、見る者は分厚い水槽のガラス越しに出来事を眺めているかのようだという。

来歴

館によれば、本作は皇太子だったアレクサンドル(のちの皇帝アレクサンドル3世)の注文で描かれた。1897年に、ツァールスコエ・セローのアレクサンドル宮殿から館に入った。現在はミハイロフスキー宮殿の第33室に展示されている。所蔵番号はЖ-4002。

意義

館によれば、レーピンは帝国美術アカデミーの給費生としてフランスに滞在していたときに本作を描いた。慣れ親しんだ環境から切り離された若い画家は、民話の主題を借りて自らの心境を表し、「この構想は私のいまの境遇を、そしておそらく、まだロシア的であるわが国の芸術全体の境遇を表している」と書いた。1876年、この記念碑的な大作によって、画家はアカデミー会員の称号を得た。館は、現実と空想の世界の均衡がとれた、記憶に残るおとぎ話の像をレーピンが作り上げたと評している。