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《聖愛と俗愛》

Amor sacro e Amor profano
《聖愛と俗愛》ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
Wikimedia Commons / ボルゲーゼ美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年
1515–1516年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
118 × 278 cm

浮き彫りのある石棺の左端に、白い衣をまとった女性が座り、右端には赤いマントを肩にかけた裸の女性がランプを掲げて振り向く。あいだではキューピッドが棺の水をかき回している。

概要

《聖愛と俗愛》は、ヴェネツィアの画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオが1515年から1516年に描いた油彩の寓意画で、ローマのボルゲーゼ美術館が所蔵する。館の記録では、カンヴァスに描かれ、縦118センチ、横278センチ。所蔵番号は147で、館の第20室(プシュケの間)に展示されている。館の解説によれば、制作や収集への入り方を示す文書がまったくないため、本作は昔から解くべき謎とされてきた。

画面の読み解き

館の解説(アントニオ・イオンメッリ、2023年)によれば、構図の中心は、顔立ちのまったく同じ二人の女性の対比にある。一人は衣をまとい、見る者の方に目を向ける。もう一人は裸で、促すようにもう一人へ向き直り、恋の熱情の象徴でありウェヌスの持ち物であるランプを手にしている。中央では、古典的な浮き彫りの帯で飾られた石棺の縁にキューピッドがもたれ、手で中の水をかき回している。この仕草で神はすべてを新たにし、たとえば死を生に変える。泉として使われている墓は、そのことをほのめかしているようだという。背景にはヴェネト地方らしい広い風景が開け、左には塔のある町、右には湖のほとりの村があり、自然までが対比に加わっているかのようである。

技法・様式

館によれば、研究者は、本作がティツィアーノの若い時期の終わり、1510年代の半ばに描かれたという点で一致している。本作はおそらく1515年から1516年に、ヴェネツィアの十人委員会の書記官ニッコロ・アウレリオが、ラウラ・バガロットと結婚する際に注文した。二人の紋章は、石棺の正面と銀の鉢の底に描かれている。左に座る女性の締める留め金と、頭のミルテの冠は、夫婦の愛のしるしである。

来歴

館の記録によれば、本作は1608年以前にローマのパオロ・エミリオ・スフォンドラーティ枢機卿が所有し、1608年7月20日に他の71点とともにシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿に譲ったという説を、ほとんどの研究者が採ってきた。ただし館は、この説には弱点があるとする。1620年頃にはボルゲーゼ家の収集にあったことが、ヴァン・ダイクの「イタリアの手帖」の素描で確かめられる。1693年と1700年の目録にも載り、1902年に国が購入した。1874年以降、たびたび修復と調査が行われ、1990年代には大がかりな調査と修復が重ねられた。

意義

館によれば、本作の解釈は数多く、ティツィアーノが生きた、新プラトン主義の広まったヴェネツィアの複雑な文化をよく表している。エルヴィン・パノフスキー(1939年)は、二人の女性を「天上のウェヌス」と「地上のウェヌス」の寓意と読み、エドガー・ウィント(1958年)は、着衣の女性を「美」、裸の女性を「快楽」とした。現在は、公の場では美しく装った威厳を、私的な場では夫への真の愛に燃える姿を見せる、理想の花嫁の美徳をたたえる教訓的な意味を重んじる見方が有力である。