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《道化パブロ・デ・バリャドリード》

Pablo de Valladolid
《道化パブロ・デ・バリャドリード》ディエゴ・ベラスケス
Wikimedia Commons / プラド美術館 / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ディエゴ・ベラスケス
制作年
1635年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
209 × 123 cm
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何も描かれていない灰褐色の背景の前に、黒い衣に白い襟をつけた男が、両脚を開いて立つ。右手を斜め下へ差し出し、左手を胸もとに当てた演説するような身ぶりで、足もとにはかすかな影だけが落ちる。

概要

《道化パブロ・デ・バリャドリード》は、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスが1635年頃に描いた油彩の肖像画で、マドリードのプラド美術館が所蔵する。館の記録では、カンヴァスに描かれ、縦209センチ、横123センチ。所蔵番号はP001198で、館の作品頁は015室に展示中としている。館の修復事業を支援するイベルドローラ財団によれば、本作は2026年2月7日に、技術調査と修復のため015室から修復工房に移された。

画面の読み解き

館の解説によれば、宮廷の道化には、身体や精神の状態ゆえに重んじられた者と、そうした状態をもたず人柄や機知で人を楽しませた者の二通りがあり、パブロ・デ・バリャドリードは後者に属した。演説するような身ぶりから、長年、本作は役者を描いたものと考えられてきた。道化たちはおそらく、王族の前で芝居の役を演じたり台詞を語ったりして、宮廷での地位を保っていた。画面では、黒い衣とマントに白い襟をつけた口ひげの男が、両脚を開いて立ち、右手を斜め下へ差し出し、左手をマントを押さえるように胸もとに当てている。背景には床と壁の境もなく、足もとに淡い影が落ちているだけである。

技法・様式

館によれば、本作はベラスケスが意図して手段を絞りこんだ例である。控えめながら繊細な色の幅、小道具をもたず表情と身ぶりだけで示される人物、かすかな影だけでほのめかされるあいまいな空間。この簡潔さが作品の意味と感情の力を強め、見る者は間に何も挟まずに道化と向き合う。それを可能にしたのは、少ない手段を生かし、人物をまわりの空間に溶けこませる画家の腕前だった。英語版ウィキペディアによれば、背景はもとは鉄の酸化物などでつくった褐色で、ワニスと保存状態のために黄土色に暗くなったとされ、左脚がはじめもっと長く描かれていたことなど、描き直しの跡も見える。

来歴

館の解説によれば、パブロは1587年にバリェカスに生まれ、1632年から宮廷に仕え、1648年12月に亡くなった。本作の年代はおおよそのもので議論があり、1634年にベラスケスがブエン・レティーロ宮殿を飾る絵のために受けた支払いと結びつける研究者もいる。館の記録によれば、本作は王室コレクションにあり、1701〜1703年にはブエン・レティーロ宮殿に、1772年には新王宮に記録され、1816年から1827年までサン・フェルナンド王立美術アカデミーにあった。英語版ウィキペディアによれば、1827年に館に移され、1828年の目録では「不詳の人物の肖像」とされていた。

意義

館によれば、本質だけに絞りこんだこの描き方は19世紀の画家たちに称賛され、本作をこれまでに描かれた最も驚くべき絵の一つかもしれないと考えたエドゥアール・マネは、名高い《笛を吹く少年》を本作にもとづいて描いた。