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《カール5世の肖像》

Bildnis Kaiser Karls V. im Lehnstuhl
《カール5世の肖像》ティツィアーノ・ヴェチェッリオ / ランベルト・スストリス
Wikimedia Commons / アルテ・ピナコテーク / Public domain 拡大して見る ⌕
PLATE
作者
ランベルト・スストリス (伝) 、 ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年
1548年
素材
キャンバス / 油絵具
寸法
204.5 × 122 cm
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金の錦の壁掛けと太い円柱を背に、黒い宮廷服に毛皮の外套をまとった皇帝が、赤い肘掛け椅子に座る。手袋を持つ手を膝に置き、足もとには赤い絨毯が敷かれる。右の開口の外には木立と野が広がる。

概要

《カール5世の肖像》は、ヴェネツィアの画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオが1548年に描いた油彩の肖像画で、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークが所蔵する。館の題は「肘掛け椅子の皇帝カール5世の肖像」。館の記録では縦204.5センチ、横122センチのキャンバスで、所蔵番号は632。ミュンヘンの選帝侯のギャラリーから受け継がれた作品で、第V室に展示されている。館は、ティツィアーノが自ら構想を描いたうえで、制作の大部分を工房の助手、おそらくランベルト・スストリスに任せたとしている。

画面の読み解き

館の解説によれば、本作は、神聖ローマ皇帝カール5世を黒い宮廷服の全身像で描いたもので、アウクスブルクの帝国議会の期間に制作された。皇帝は、毛皮の縁取りのある黒い外套をまとい、黒い帽子をかぶって、房飾りのついた赤いビロードの肘掛け椅子に腰掛ける。首には金の飾りを下げ、手袋をはめた左手を膝に置き、右手にはもう片方の手袋を持つ。腰の剣の先は赤い絨毯の上にのぞく。背後の左には金の錦の壁掛けが垂れ、中央には太い円柱が立つ。右の開口部の向こうには、雲の流れる空の下に木立と野、建物が広がる。手すりの壁にはローマ数字で「1548」と記され、右下には画家の名が書き込まれている。

技法・様式

館によれば、本作は皇帝の威厳を示す公式の肖像であると同時に、人物の性格をとらえた研究でもある。堂々とした円柱、赤い絨毯、金の錦は皇帝の位にふさわしい道具立てだが、ハプスブルク家の皇帝の顔は理想化されず、進んだ年齢と疲れをありのままに見せている。館は、ティツィアーノが自ら手がけた構想をもとに、仕上げの大部分を助手が担ったとみている。

来歴

館の画家の略歴によれば、ティツィアーノは1529年から1530年にボローニャで初めてカール5世に会い、1533年に皇帝から宮廷画家に任じられ、同時に宮中伯と黄金拍車の騎士に叙された。1548年の初め、皇帝の求めでアウクスブルクで開かれた帝国議会に赴き、1550年から1551年にも再び同地に滞在して、皇帝や皇太子フェリペ(のちのスペイン王フェリペ2世)、議会に集まった多くの人物の肖像を描いた。本作はこの最初の滞在のときの作品である。館は、ミュンヘンの選帝侯のギャラリーから本作を受け継いでいる。

意義

同じ1548年のアウクスブルク滞在中に、ティツィアーノは、ミュールベルクの戦いの勝利を記念するプラド美術館の《カール5世騎馬像》も描いている。甲冑をまとって戦場を一騎で進む騎馬像が勝利者としての皇帝を示すのに対し、本作は、黒い宮廷服で静かに座る皇帝を、間近に向き合う距離で描いている。館の略歴によれば、ティツィアーノはアウクスブルクで皇帝のほか議会に集まった多くの人物の肖像を描いており、本作の制作の多くを助手が担ったことも、こうした注文の多さの中に置いて見ることができる。